発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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横浜精神分析研究会事務局からの3つのセミナーの案内を掲載します。

●力動的セラピストになるために File.4 ―現代の思春期・青年期のこころをめぐって:セラピー関係を深く理解するために―

講師:飛谷渉 先生
日時:平成28年2月28日(日)13:00~17:00
会場:篠原地区センター(横浜市)

詳細は第4回特別セミナー案内


●定例会

日程:毎月 第2日曜日(平成28年4月~平成29年3月)
時間:(文献講読)13時00分~14時55分
   (症例検討)15時00分~17時00分
場所:横浜市内
費用:通年22000円(単発、院生割引あり)

詳細は研究会の案内


●力動的グループスーパーヴィジョン

日程:毎月 第2日曜日(平成28年4月~平成29年3月)
時間:10時00分~12時00分
場所:横浜市内
費用:年間12回 50000円(院生40000円)

詳細は力動的GSVの案内


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シュタイナーの著作を読んだ。前著のこころの退避からのさらなる発展について記されている。簡単に言うと、人は耐えがたい苦痛に晒されると、PSポジションでもDポジションでもなく、破壊的自己愛を基盤とした病理構造体を作り、そこに逃げ込む。

それによって苦痛を感じずにすむことができる反面、成長や発展が望めなくなってしまう。精神分析によってそこを取り扱うことにより、病理構造体から抜け出し、再度発達することは可能であるが、その際、患者は屈辱感や決まりの悪さを感じる。

その屈辱感や決まりの悪さの取り扱いについて、本書では様々な観点から論じている。



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ながらく絶版になっていたものが、昨年に増刷され、こうして読むことができるようになった。ケースメントはもともとはソーシャルワーカーで、その後、精神分析家・訓練分析家になった人で、いちおうイギリス独立学派に属している。訳者の松木先生はクライン派であるので、厳密には他学派による訳本となるが、ケースメントは本書のタイトルにあるように、何かの理論や技法を持ち込んでいるというよりは、臨床の中で考え、患者から学んでいるところからすると、学派を越えて、一つの臨床家としてのスタンスを示すものなので、学派はそこまで関係がないと言えなくもないだろう。ちなみに松木先生もクライン派ではあるが、もう少し柔軟なスタンスがあるように見受けられるように思える。

本書の中で登場する重要なこととして「試みの同一化」と「心の中のスーパーバイザー」がある。簡単にいうと前者は患者と同じように感じていき、そこでのあり方をモニターすることであり、後者は自分で自分を都度スーパーバイズしていくことである。そのような技法を用いながら、患者と精神分析家が一緒に考えていくのである。本書にはもちろんケースメントのケースが多数登場し、そのやりとりのリアルな描写は非常にイメージ喚起的である。そして、注目を引くのが、彼の解釈には精神分析家の失敗やとりこぼしを含め、それに対する患者の失望や怒りをきちんと取り上げていくことに特徴がある。これはクライン派や自我心理学の解釈と大きく異なるところではないかと思われる。そこにはウィニコットの環境の失敗のアイデアがあることは言うまでもないが。また、この解釈は人によっては自虐的すぎるという感想を持つ人ももしかしたらいるかもしれない。



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ビオンがダヴィストックで行った6回のセミナーの講義録である。録画されていた資料を基に、ビオンの妻であるフランチェスカが編集したのだが、当初から出版が予定されていなかったのか、全てが録画されていたわけではないようで、ところどころ記録が欠損している。そのため、前後の文脈が分からない箇所が多々ある。

内容については、直接精神分析についてビオンが語っているというよりは、哲学や思想、社会、生物学などから語っていき、実際に何をしゃべっているのか分からないようでいて、最終的には精神分析や人間そのものについて大きく関わってくる話になるという感じである。

ビオンはもちろん精神分析家であるが、彼の自由の思考は精神分析の枠内に留まらなくなっている。しかし、それでいてやはり精神分析に舞い戻ってきているという極めてアクロバティックな動きをしている。これこそが自由連想といっても良いのかもしれないが。



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解題によると、精神分析の観点からの自閉症理解というのは3つの文脈があるという。一つ目はタスティンであり、自閉の心因論からの理解である。二つ目はアルヴァレズであり、対人関係と発達研究を参照した理解である。そして、三つ目がこのメルツァーである。メルツァーは古典的な分析技法に忠実にのっとり、さらにはビックの代理皮膚や付着同一化の理解を参照して、自閉症の理解を進めている。

本書は分析事例がかなり豊富に、かつ詳細に記載されており、理論形成の根拠が比較的明瞭に示されている。そのため、納得できるかどうかは別として、理解は比較的しやすいのではないだろうか。限界はもちろんあるが。また、経過も5~10年という超長期的スパンで描かれており、それだけ深く広く理解を進めていくところに、ある種の自閉症の本質を垣間見せてもらえるように思う。

自閉症の特質を中核的自閉状態とポスト自閉状態に仕分け、さらには4つの次元から構成される心的次元論を展開し、単に生物学的で、生得的であると安易に結論をつけることを一蹴して、サイコロジカルに理解し、扱っていくその姿勢と理解方法は様々な示唆を与えてくれるように思える。

蛇足だが、マーサ・ハリスはメルツァーの2番目の奥さんだったとは知らなかった。


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