発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 まんが サイコセラピーのお話(精神分析 臨床心理 心理療法)
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このようにサイコセラピー・心理療法のプロセスをまんがによって表現するというのは極めて珍しいことではないかと思われる。その着眼点はさすがである。

本書は、基本的には精神分析的・精神力動的な観点のセラピーであるが、柔軟にその他の技法を取り入れている。例えば、感情リストを使った認知行動療法的アプローチであったり、今ここの感情的な気付きを促すゲシュタルトセラピーであったり。

そして、そうした技法は使いつつも、セラピストとクライエントが実際に話している言葉と、内で思っていることを同時に提示し、本当のところで何が起こっているのかが視覚的に、直感的に分かるようになっている。こういうことはやはり文字だけの文章では表現しきれないだろうし、漫画という表現方法によって見事に描き出されている。それは、セラピストの逆転移であったり、クライエントのセラピストには話さない本音であったり。そこには、セラピストも完璧ではなく、驕ったり、つまづいたり、先を急ぎすぎたりというような失敗がいくつも描き出されている。しかし、そうした失敗ということがセラピーの完全な失敗ということではなく、必然的にセラピープロセスに起こる出来事の一つに過ぎないということが分かる。その出来事を如何にとらえ直し、セラピューティックに扱っていくのかに意義があるように思う。そうしたことも本書では描かれていると思う。

あと、本筋とは関係ないかもしれないが、日本における漫画は特別な場合を除いて、ほとんどの場合が右から左に読み進めていくようになっている。しかし、本書は言語の関係からか、左から右に読み進めていくようになっている。その点、日本の漫画に馴染んでいる人は、意外と本書の左から右という形式の漫画は違和感があるのではないかと思う。その他に、数多くの注釈や説明が文章として下部に書かれている。それらは本書やストーリーを理解していく上で欠かせないものであるが、それを読んでいると、漫画の良さであるスピードにのった読み進め方ができないのが残念なところである。


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