発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 逆転移について(精神分析 臨床心理 心理療法)
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ポーラ・ハイマン(著)「逆転移について」 1950年
松木邦裕(監訳)「対象関係論の基礎」新曜社 2003年

フロイトは逆転移について提唱をしたが、基本的にはそれは治療妨害因子であり、訓練分析等で解消していかねばならないという立場であった。その後、クラインは投影同一化を提唱し、無意識的なコミュニケーションの重要性を提唱し、逆転移についての論考を進めはしたが、やはり逆転移を治療に生かす、という視点には慎重であった。

その折に、このハイマンが逆転移を治療に生かすという視点をこの論文で導入した。ハイマンはクラインの訓練分析を受け、一時はクラインの忠実な弟子・共同研究者であったが、このハイマンの論文をきっかけにして、袂を分かつことになってしまった。クラインは上記で書いたように、逆転移をハイマンの言うようなやり方で使用することについては慎重であったからだ。

しかし、クラインは逆転移の治療的活用については否定的だったが、その後、ポストクライン派と呼ばれる分析家のグループでは、主にこのハイマン流の逆転移の扱いを基本的なスタイルとしているのである。それは後にビオンはコンテイン論で投影同一化-逆転移の治療的意義を定式化していったことが大きなことであると思われる。

この論文自体は短く、端的で、分かりやすいものであり、重要な視点をコンパクトにまとめられている。その中で「患者の情緒の動きや無意識の空想についていくための、自由に湧き上がる情緒的な感受性が必要であることを述べておきたい。分析家の無意識が患者の無意識を理解するというのが、私たちの基本仮説である。深いレベルのラポールは逆転移として、患者への反応の中で分析家に気づかれる感情として、表面に現れる。これは患者の声が分析家に届くもっとも力動的な道筋である。分析家に湧き起っている感情を患者の連想や振る舞いへ照らし合わせることに、その分析家が患者を理解できたかどうかをチェックするとても価値のある手段である」としており、そこに本論文が要約されている。


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