発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 子どもの治療相談面接(精神分析 臨床心理 心理療法)
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精神分析は週に4~5回のセッションを数年に渡って続けなければいけないかなり負担の大きなセラピーである。ウィニコットはできるだけ関わりは小さく短くというのが大切だという考えから、1回か多くても数回のセッションである程度の効果を出すためにどういうことが必要なのか、ということを考え、本書で取り上げられているような治療相談(Therapeutic Consultation)を考え出した。これらは主に子どもの治療で用いられるが、スクイグル・ゲームなどを用いながら、初回面接の段階で子どものかなり深い部分の葛藤やコンプレックス、対象関係などに触れていき、発達を前に進めることのできる技法である。

本書は3部構成になっており、1部では7症例の健常児を、2部では5症例の精神病児を、3部では9症例の反社会的な児童を、計21症例を取り上げている。いずれも1セッションか数セッションほどの短い期間での出来事を詳細に記載している。そして、どれもがそれだけのセッションでかなりの改善を見せているのである。ちなみに1968年の「私の総計」という論文では、改善、変化なし、悪化がどれぐらいの割合だったのかを報告している。

ここで紹介されている症例はほとんどがスクイグル・ゲームというものを用いている。スクイグル・ゲームはイギリスの伝統的な子どもの遊びで、特にウィニコットの独創ということではないようである。一方がデタラメな描線を描き、もう一方がそこから見えるものを描いていく、ということを交互にしていく遊びである。そこにウィニコットは子どもの様々なもの投影され、深いコミュニケーションの中で無意識が明らかになっていくことを見出している。そういう意味での独創性はあると言えよう。

これらの症例を見ると、この時代のブリーフセラピーとも言えそうであるが、ウィニコットの後にはこの治療相談の技法はあまり発展せず、今日ではあまり使う人がいないようである。

このような劇的な変化に感銘を受けて、自分もやってみようと思う人もいるかもしれない。しかし、簡単にこういうことができると考えるのは危険であろう。それはウィニコットも主張しているが、この治療相談は精神分析とは違うが、精神分析のトレーニングを積まないとできないと言っている。精神分析を学ぶことが前提であるので、そう簡単にはできないのである。聞くところによると、本書が新たに訳しなおされて再出版されたのは、療育関係の人の要望が強かったからのようである。とても感銘を受けたのは分からないでもないが、精神分析のトレーニングを積んでいない療育関係の人がこういうことが本当のところで参考になるのかは疑問である。


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