発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 対人恐怖とPTSDへの認知行動療法(精神分析 臨床心理 心理療法)
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平成18年に開催された日本認知療法学会で、クラークとエーラーズがそれぞれ対人恐怖・PTSDの認知行動療法の講義とワークショップを行ったものをまとめたのが本書である。

対人恐怖は日本古来からの呼び名であり、DSM-4では社交不安障害と呼ばれている。クラークはこの社交不安障害が維持する要因として、「注意の内側へのシフト」「内的な情報に基づいた推論」「安全行動」の3つを挙げた。そしてこれらから社会不安障害の認知モデルを組み立て、治療技法をパッケージ化している。主には注意トレーニング・安全行動を外した際の行動実験・記憶の意味の書き直しなどが中心的な技法となっている。特徴的なのは最後の「記憶の意味の書き直し」であるが、トラウマワークから生み出された技法のようであるが、過去の社交不安障害に結びつく記憶を検索し、イメージやロールプレイなどを用いてそのネガティブな体験を修正していくのである。クラークは「記憶の意味の認知的再構成」とも言っている。

後半にはエーラーズのPTSDに対する認知行動療法が掲載されている。PTSDは自分や身近な人が命に関わるような外傷的な体験をした後に発症する不安障害の一種である。しかし、外傷体験をしたからと言ってすべての人がPTSDになるわけではないし、PTSDになったとしても自然治癒していく割合が高いのも事実である。そこでエーラーズは慢性的なPTSDに移行する要因を検出する研究を色々と行っており、その中で「精神的敗北感」「反芻の強さ」「心理的問題の既往」の3つが重要であることを見出している。そして、治療の主な技法として「トラウマ記憶のアップデート」「想起刺激の弁別」「ネガティブな評価の修正」「反芻など維持行動の除去」が用いられている。

これまでのPTSD治療では長期的エクスポージャーなどが用いられることもあったが、エーラーズの認知行動療法ではエクスポージャーなどを用いず、トラウマに向き合うことも目的は馴化ではなく、認知再構成法であるとしている。そのためか、長期的エクスポージャーよりもエーラーズの認知行動療法の方が脱落率も効果量も優れているとRCT研究で示されている。
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