発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 アイデンティティの心理学(精神分析 臨床心理 心理療法)
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アイデンティティ研究の第一人者であり、精神分析的心理療法家である著者がアイデンティティについて分かりやすく書いている。ちなみに鑪氏はあまり表には出さないが、精神分析の中でも対人関係論学派に相当する。そしてその対人関係論学派の総本山であるホワイト研究所でトレーニングを積んでいるのである。ただ、ホワイト研究所は確か国際精神分析学会IPAに加入していないので、正式には精神分析家とは言えないようであるが。

本書では最初にアイデンティティの理論を提唱したエリクソンの生い立ちについて述べている。エリクソンはユダヤ人であり、最初は芸術家を志していたようである。しかし、アイデンティティ危機に陥り、一生を芸術家として過ごすか否かの迷いの中でウイーンで精神分析家のトレーニングを受けている家庭の芸術教師をするようになった。その縁の中で精神分析に触れ、自身も精神分析のトレーニングを積み、精神分析家となったようである。そのようなアイデンティティ危機の経験を基にして、心理社会的な面からみた生涯発達の図式を組み立て、その中に青年期・アイデンティティの理論を組み込んでいったようである。

そして本書の4章ではアイデンティティにまつわる臨床的問題として、登校拒否・対人恐怖・犯罪・精神病について述べている。やや杓子定規に述べているようにも思うが、新書ではそういうものかもしれない。最後の5章では森有正という哲学者を取り上げ、アイデンティティの観点から考察を行っている。

20年前とかなり古い本ではあるが、アイデンティティについて知るためにはあまり色褪せないものであると思われる。反面、昨今では精神分析は重篤なケースをどのように理解するのかといった方向に進んできており、そのなかで思春期や青年期の発達ではなく、社会的な側面ではなく、乳幼児期といった最早期の発達にポイントを置くようになってきている。その為の理論として対象関係論が必要となってきている。その中ではエリクソンのアイデンティティ論といったものは臨床的に取り上げることが段々と少なくなってきているように思う。


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