発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 パーソナリティ障害の認知療法-ケースから学ぶ実際の臨床(精神分析 臨床心理 心理療法)
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ベックの認知療法はうつ病の治療から始まったが、その後さまざまな疾患・症状に対して適応を広げてきた。摂食障害や統合失調症といった重症例への適応も見られているが、本書ではパーソナリティ障害への適応についてケースを通して書かれている。

パーソナリティ障害といってもさまざまであるが、本書ではICD-10の類型に従って診断して、治療を行っている。

パーソナリティ障害への認知療法・認知行動療法のエビデンスは着々と積み上がっており、さまざまな技法が体系化されている。その体系化されている技法をある程度遵守して治療に当たるのがもちろん良いのだが、日常的な臨床の場でそれをそのまま適用すると逆に治療的にならない場合もある。弁証法的行動療法などの治療効果は実証されてきつつあるが、極めて高度な構造化が行われており、環境的にもマンパワー的にもかなりのコストがかかる。実際の臨床ではそういう技法をそのまま使うことはできないが、そのエッセンスを拝借しつつ、可能な範囲で適用していくことが現場では求められる。

本書ではさまざまなケースが提示されているが、そのどれもが標準的な技法を遵守して治療に当たっているものはほとんどなく、実際の診察や面接中で適時さまざまな認知療法の技法を援用しながらケースに応じて治療している様が見て取れる。中には技法の効果よりも治療者が壊れることなく常に居続けることが一番治療的だったのではないかと思われる場面も多々見られた。つまり認知療法的な技法を直接使用しないが、認知療法的な視点をもちつつも、患者に会い続けることが大切なのではないかとも思ったりする。

テキストでは綺麗に技法を適用でき、理想的に治療が進展し、うまくまとまって終結するケースが提示されることが多いが、現場では地べたを這いつくばり、泥にまみれながら何とか治療しているケースが多いのではないかと思う。

また本書の執筆人は数名を除いてほとんどが精神科医のようである。臨床心理が2名で、後1名はちょっとよく分からない人のようである。そしてほとんどは保険診療の枠組みで認知療法的な治療を行っていたケースが提示されている。現在の日本における保険診療では長くても1回10~20分程度で、数週間に1回ぐらいしか治療が行えないが、それでもこれぐらいのことはできるということだろう。
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コメント
この記事へのコメント
お疲れ様です。
赤字で書かれているところは、本当に同意します。
いつもいい情報ありがとうございます。
2011/12/13(火) 21:53 | URL | ネピリム # - [ 編集する]

実際の臨床はなかなかエビデンスで示されているように綺麗には進まないですね。
2011/12/19(月) 18:35 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

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