発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 パーソナリティ障害の診断と治療(精神分析 臨床心理 心理療法)
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本書は精神分析的な観点からパーソナリティ障害について書かれたものである。特に初心者を対象にしているようである。そのため、ややマニュアル的な構成となっており、精神分析の論文に特有の自由連想を働かせながら著者と対話していくという読み方ができにくいようにも思えた。

1部では基礎概念の説明として歴史的な経緯から、防衛機制の種類など、分かりやすく解説されている。2部ではより臨床的な点を述べられている。パーソナリティ障害は様々な臨床現場に訪れることがあり、一般的には対応が難しいと言われることが多い。しかし、パーソナリティ障害といっても様々な病態や特徴があり、全てを一緒にしてしまうことはできない。本書ではまず以下の9つのタイプに分類している。

精神病質性パーソナリティ
自己愛性パーソナリティ
シゾイドパーソナリティ
パラノイドパーソナリティ
躁うつ性パーソナリティ
マゾヒスティックパーソナリティ
強迫性パーソナリティ
ヒステリー性パーソナリティ
解離性パーソナリティ


さらに、カーンバーグの病態水準の考え方を用い、神経症レベル・境界レベル・精神病レベルといった重症度を評価している。タイプ別と病態水準の2つの軸からパーソナリティ障害を見ていくとするところに本書のユニークさがあると言える。例えば、同じパラノイドパーソナリティでも、神経症レベルで健康に近い患者から、精神病レベルの非常に重たい患者までいる、ということが分かる。

精神分析と言っても様々な学派や理論があり、それぞれ独自に発展してきているところもあり、相互に合い入れない部分もあったりする。しかい、本書では様々な精神分析の学派の考えをより柔軟に取り入れ、適宜使い分けている。折衷的と言えるだろう。対象関係論的に述べられていたかと思えば、急に自己心理学などが出てきて、人によってはビックリしてしまうかもしれない。また精神分析は週に4回以上のカウチを用いた自由連想を行うのがスタンダードであるが、本書ではそういうやり方を厳密に用いた臨床を想定はしていないようである。週1~2回の対面方式による心理療法を想定しているようである。現実的にはこのようなスタイルの心理療法が多いだろうし、実状にマッチしていると言える。そのような臨床の中で本書は生かされるのではないかと思われる。


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