発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 境界性パーソナリティ障害の精神療法(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 一般的に境界性パーソナリティ障害(BPD)を治療していく場合には、さまざまな方法を駆使して行わねばならない。本書はそのさまざまな方法の中でも精神療法を焦点にして書かれている。まえがきにもあるように本書は特定の技法や学派に偏らず、一般的な視点から初心者でもある程度活用できるように作成されている。そうは言っても著者グループはどちらかというとオリエンテーションは精神分析・力動論なので、その方面からの視点や用語が多いようである。

 本書ではBPDの特徴を以下の5つに絞っている。

(1)浮遊する不安と多彩な神経症・心身症状
(2)見捨てられ抑うつ
(3)行動化
(4)生身の人間関係への希求
(5)体験の全体性の未完成と融合性の過剰


 この5つをみるとDSM-4のBPDの診断基準を多くの部分で重なっており、特徴が収束されているように思える。あと僕の臨床体験から言うと、妄想的ともいえるような認知の歪みも特徴に思えるが、これは(2)や(5)に含まれているのかもしれない。

 さらに第4章では専門家へのアンケート調査を行っており、その中でBPD治療の大枠を浮かび上がらせている。しかし、アンケート調査の限界であろうが、治療者側の主観的な意見によって得点付けされているので、信頼できる結果といえるのかは疑わしいようにも思える。また第7章では、BPDの治療・精神療法を行っている時によく起こる問題を列挙し、その対処法について詳しく記載されている。自殺の脅しや電話攻勢、治療チームの巻き込みと破壊は本当によく起こる現象であり、ほとんどの治療者は体験したことがあるのではないかと思う。

 BPDの治療・精神療法はこれまで困難であり、かつ効果も限定的ということがまことしやかに言われていたように思う。しかし、さまざまな研究を通して、予後も意外と良好であり、インテンシブな治療によく反応することが分かってきた。そして現在はある程度の対応方法が確立しつつあるようである。本書はその流れで出てきたものであり、日本の実情に即した形になっていると思われる。ただ、著者チームが精神科医や精神科で働く臨床心理士からなっているため、精神医療の中でのBPD治療という色合いが強いように思う。BPDは医療だけではなく、教育領域・産業領域・福祉領域・司法領域・開業領域など、さまざまなところに来談するのである。医療領域以外での話が本書にはあまり盛り込まれていない点は残念なところである。


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