発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 境界性パーソナリティ障害最新ガイド(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 境界性パーソナリティ障害はもともとは精神病と神経症の間にある疾患で、神経症と診断し精神分析を行うが、その過程で精神病的な病態になる、というところから境界例という名前がついた。その後は主に精神分析の分野で研究が進み、そこで見出されたいくつかの特徴を記述的な診断に援用して、DSMの中のパーソナリティ障害の枠組みに組み込まれていった。そして名称も境界性パーソナリティ障害となった。

 境界性パーソナリティ障害は他者を巻き込み、自傷や自殺企図などを行い、継続的な信頼関係を結ぶことに問題があることから、難治性で治療困難な障害として捉えられることが多かった。治療者自身も疲弊してしまうので、敬遠されてしまうことも多いようである。

 しかし、様々な研究や調査を通して、境界性パーソナリティ障害の実態が明らかになり、予後・転帰はこれまで考えられていた以上に良い方向に進むということが見出されてきた。さらには、治療技法についてもメンタライゼーション・転移に焦点づけられたセラピー・弁証法的行動療法・スキーマ療法など様々な方法が考案され、境界性パーソナリティ障害の治療に効果を上げていくものが見られるようになった。そして、これらを統合して、境界性パーソナリティ障害の治療ガイドラインも作成されるようになった。このような経緯の中で徐々に境界性パーソナリティ障害は難治性でも治療困難でもない、いわば通常の精神障害として認識され始めている。

 本書はそうした治療ガイドラインに沿って、平易な形で治療に携わっているスタッフや患者の家族に向けて書かれたものである。1部では境界性パーソナリティ障害の診断や治療について書かれており、特に3章では自傷と自殺企図との違いなどを明確にして書かれており、参考になるところは多い。2部では当事者の手記や家族に対するサポートが主に書かれており、当事者だけではなく家族の苦悩や大変さにも焦点があてられている。現代における境界性パーソナリティ障害の全体像や治療方針などまとまった形で書かれているので、とっかかりとして読むのには大変分かりやすくなっていることと思われる。また家族に向けてかかれているところから、専門用語の解説など理解しやすい工夫はなされているが、それでも全く知識のない中で本書を読むのにはなかなか難しいのではないかと思われるところも多々あるかもしれない。


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