発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 転移の臨床的諸相(精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「転移の臨床的諸相」 1955-56年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp358-364

 6ページと短いが、とても重要な論文である。転移とは学派によって概念は違うが、大まかにいうと患者から分析家に向けられる感情や行動であると言える。ウィニコットによると、これまでの精神分析における転移の扱いは、単純に患者が分析家に向けてきたものを解釈する、すなわち転移解釈を行うものだけであった。それは自我がある程度確立していることを前提とした扱い方であるが、これは最早期の生育史においてほど良い世話を受けてきたことを暗黙の前提としているのである。

 しかし、最早期のおける環境や世話の失敗があり、偽りの自己が過度に成長してしまっているような重篤な症例では単に転移解釈だけでは通用しないことがある。この場合、転移解釈による治療の進展ではなく、治療者が何らかの失敗をし、その失敗を患者が過去に結びつけ、うまく利用することによって治療が進展するとウィニコットはしている。

 このウィニコットの転移のユニークな扱い方は今までの精神分析にはないものであることが分かる。それはウィニコットが乳幼児を治療する小児科医であったこと、また精神病を治療する精神分析家であったことが大きく影響しているように思う。昨今では精神病、統合失調症の精神分析はあまり行われなくなった。代わりに境界例やパーソナリティ障害の治療が多く行われるようになってきた。精神病と境界例は違うが、両方とも最早期の何らかの障害が推測されるだけに、このウィニコットの転移についての理解は臨床的に活用できそうに思える。


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