発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 精神分析的設定内での退行のメタサイコロジカルで臨床的な側面(精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「精神分析的設定内での退行のメタサイコロジカルで臨床的な側面」 1954年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp335-357

 退行とはフロイトが提唱した概念であり、以前の発達段階に後戻りすることを指している。ウィニコットは人生の最早期における環境の失敗を「凍結」と呼び、退行によってこの部分の取り扱いが重要になってくると論じている。その為には、解釈や分析だけではなく、マネージメントや分析家自身が生き残ることが必要になってくるとのことである。

 というのも、人生の最早期である一次ナルシシズムにおいては個人は環境に抱えられており、かつ個人はそれについて何も知らずに一体となっている。そのため、それを解凍するためには環境の適切な対応が必要ということである。ウィニコットはこのことから「精神病は自発的な回復をなしうる」としている。逆に神経症の方では自発的な回復はなく、通常の精神分析が必要としている。

 ここはウィニコットの極めてユニークな精神分析観がみてとれる。特に精神病などの重篤な症例を抱えていたウィニコットは患者を抱えることの大切さをここで主張しているのであろう。またフロイトが神経症者の分析に終始し、抱える設定についてはほとんど言及がなかったことについて、「フロイト自身が早期の母子関係は良好だったので、それに気付かなかったのだろう」と書いている。

 また、本論文では精神病だけではなく、スキゾイドについての言及もなされており、「活動の中心が偽りの自己から本当の自己へと移行することにより、人生は生きている価値のあるものだという感覚への変化が生じる」としている。精神分析が単なる治療ではなく、人生をより豊かにしていくためのものであることが表されているように思う。


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