発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 正常な情緒発達における抑うつポジション(精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「正常な情緒発達における抑うつポジション」 1954-55年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp312-334

 クラインの有名な理論として抑うつポジションがあるが、ウィニコットはこれをウィニコットなりに説明しなおしたものが本論文である。クラインは乳幼児の発達を抑うつポジション・妄想分裂ポジションを提唱し、二つの心的なあり方が成人になっても影響を及ぼし続けるとした。ウィニコットもその説自体には反論はしていないが、病気の名前が命名に使われていることに対して反論してる。すなわち、抑うつポジションは健康に発達する上で重要であり、特に病気とは関係ないものなのに、「抑うつ」という病気・病名・症状がつけられていることで誤解を招くとしている。確かに僕も最初にこの用語の触れた時にはそのようなこと思ったことはあると記憶している。そのためウィニコットは抑うつポジションを「思いやりconcernの段階」と呼ぶ方が良いと言っている。

 またそれ以前の段階については「無慈悲ruthless」と言っている。この部分は微妙であるが、クラインの妄想分裂ポジションとは多少違う状態を表しているように思う。クラインの妄想分裂ポジションでは、攻撃と迫害が渦巻く殺伐とした世界が表現されているのに対して、ウィニコットの無慈悲では、乳幼児の活動性activityと環境との出会いに焦点が当てられているようである。

 この時期のウィニコットはクラインに決別を告げられており、いわばクライン派ではなくなっている。それでもクラインに理解してもらいたいウィニコットが必死の思いで書いた論文であるように感じる。しかし、クライン理論を説明しているように見えて、ウィニコットなりの理解や理論がクラインとは違う形で展開してきているようである。そこにウィニコットの心の揺れ動きがかいま見れるように思う。

 そして、「生き残ることsurvival」についてもここで説明されており、母親がほど良い環境を提供し、死ぬことなく生き残り続けることにより、子どもが複雑な発達を遂げていくことができるとしている。これは臨床的にも患者のさまざまな攻撃や恨みなどから治療者が死ぬことなく、生き残ることが治療的に必要であることと同じことであると言える。


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