発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 心的外傷の治療技法(精神分析 臨床心理 心理療法)
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前著「解離性障害の治療技法」の続編に当たる。できれば前著を読んでから本書を読むほうが理解しやすいかもしれない。

当初フロイトは神経症の病因を心的外傷においていたが、後に欲動論に傾き、徐々に心的外傷は精神分析から排除されていった。ただ、フィレンツィはフロイトが撤回した心的外傷を再発見し、心的外傷を主軸においた精神分析を行った。そのせいでフィレンツィは長く精神分析の世界からまさに排除されるようになった。著者は第2~3章でフィレンツィについて考察しているが、相当フィレンツィに同一化していると各所で書いている。

そして心的外傷によってこうむるのは精神病水準の不安であり、その不安を防衛するためにスキゾイドメカニズムを展開させる、というのは前著に引き続いて論じられている。そして本書ではさらに一歩進め、心的外傷は乳児期における不可避な環境の失敗に起源がある、としている。それを「原初的外傷」と命名している。つまり、単に心的外傷は心的外傷が問題なのではなく、心的外傷が原初的な外傷を刺激することにより、精神病水準の不安が喚起されるということである。この水準の不安の扱いとしては解釈とマネジメントであるとしている。

また、本書では治療の中断や終結、カウチの導入といった心的外傷に関わらず臨床的に重要なトピックについて論じている。治療の中断は単に治療の失敗ではなく、そこに意味を見出していくことが大事であると著者は語っている。中断を通してしかコミュニケートできないものがあり、中断を回避するのではなくそこに込められた意味を感じとり、扱っていくことが大事である、としており、全くそのとおりであると同意できる。さらに、終結についても、治ったから終わり、という単純な理解ではなく、終結を通して何かをワークするという観点を論じているのは本当に斬新であると思う。

その他に、本書では哲学や文学からの引用がかなり多くを占めている。著者はもともと文学部出身で、その後医学部に入り、臨床医となっている。もしかしたらその経歴が関係しているのかもしれない。さらに驚いたことに医学部を卒業してからまだ16年目ということで、私と臨床歴がたった7年しか変わらないことになる。7年後の時点で私がこのレベルまで達しているのかどうかは自信がない。


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