発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 認知行動療法の臨床ワークショップ―サルコフスキスとバーチウッドの面接技法(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 サルコフスキスとバーチウッドが来日した際のワークショップの記録をメインにして編集されている書籍。サルコフスキスは強迫性障害やパニック障害に関して、バーチウッドは統合失調症に関しての権威のようである。

 強迫性障害は強迫観念と強迫行為からなる障害であり、認知行動療法が極めて有効であることが確認されている。ただ、認知の変容を強迫観念に対して行ってもあまり有効ではなく、強迫観念は認知ではなくトリガーとして理解することが有用のようである。そして強迫観念に対して生起する自動思考を扱うことが良いようである。それは一般の健康な人にも強迫観念は存在しているという実証研究から導き出されている。すなわち、強迫観念そのものが問題と言うよりも、そのことに対する認知が問題ということである。このことを定式化したのがサルコフスキスである。そして、不安に暴露し、強迫行為を反応妨害することにより、恐れていたことは実際には起こらないことを実証し、馴化することにより、不安と強迫行為が減っていくのである。

 パニック障害は微細な身体的な反応を破局的に解釈し、それによって強い不安が生起する障害である。そして不安が生起しないように、回避行動によって対処するが、その対処そのものが不安を慢性化させてしまうのである。その為、強迫性障害と同様に不安に曝露し、実際にはパニックや不安が起こらないことを体験的に理解していくことで症状が消去されていくのである。

 バーチウッドは統合失調症に対する認知行動療法の研究を行っている。ただ、統合失調症という障害そのものに対してのアプローチではなく、幻聴や妄想といった症状に対するアプローチとなっている。古典的には幻聴や妄想は了解不可能・訂正不可能と言われ、説得によって消そうとしても消せないし、幻聴や妄想に付き合うと助長されるということが言われており、当たらず触らずの対応をすることが一般的であった。しかし、最近の研究では認知行動療法によって幻聴と妄想に関しては十分に対応できるという知見が積み重ねられてきているようである。それは幻聴や妄想は統合失調症などの精神病だけに見られるのではなく、一般の健康な人にもかなりの高確率で見られるのである。それは強迫性障害の強迫観念と同様である。そして幻聴については、幻聴をトリガーとして引き出される自動思考を変容していくことは可能である。また妄想は訂正不可能ではなく、妄想が事実である根拠や反証を丁寧に検討することにより、現実検討力を取り戻し、妥当な認知に変えていくことも可能なのである。

 認知行動療法はうつ病などから始まったが、今日では不安障害や精神病に対しても有効であることが証明されてきている。さらには摂食障害・パーソナリティ障害・発達障害に対しても有効性が見出されてきており、今後もさらに発展していくことが予想される。それは、認知行動療法の方法論やターゲットが実証研究に乗りやすいという特性をもっており、そのことにより、様々な知見やデータを積み重ねやすいことから急速に普及しているものと思われる。今後の臨床を考えると認知行動療法をインテンシブに行うかどうかは別として、このような知見を身に着けていくことが心理臨床家としては必須になってくるのかもしれない



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