発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 食欲と情緒障害(精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「食欲と情緒障害」 1936年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp3-29

 フロイトは性心理の発達として口唇期を最初の段階としておいた。そこでは母親のオッパイを口で吸うことによる満足を重視していたと理解することができる。ただ、フロイトの関心は後のエディプス期における父子葛藤に向けられたため、口唇期の性的満足についてはそこまで詳細に考察されなかった。その後のクラインや対象関係論者は父子関係ではなくもっと早期の母子関係にまで発達を遡っていくようになった。そこには単に口による性的満足があるかなしかといったことに留まらず、早期の心の交流が後の発達に大きな影響があることを理論化し、対象関係論が発展したのである。そして、ウィニコットはその先駆けとなったと言えるのである。

 本論文はそうしたウィニコットの理論的発展の一つとなっているように思うが、タイトルに示されているように、乳幼児の口による満足を小児科臨床を通して考察している。そこでは具体的な現象として食欲を取り上げ、その食欲の異常が後の情緒障害・精神障害とが深く関連していることを述べている。確かに臨床をしていてもほとんどの症例で食欲不振といった食欲にまつわる症状を伴っていることは所見として挙げられる。うつ病の食欲不振はその典型例であろう。また摂食障害では直接的に食欲の障害が見られる。過食・拒食といったことは逆の現象ではあるが表裏一体であるとも言える。

 ウィニコットは本論文で13の症例を提示しながら食欲と情緒障害・精神障害との関係性を丹念に描写している。ただ、ここで示される症例は後の論文でも同様であるが、精神分析の症例ではなく、小児科という一般診療の中で見られた症例のみを提示している。ウィニコットが小児科医であり、精神分析家でもあったことは有名であるが、その経歴が精神分析学や小児医学の両方の発展に寄与する重要な知見を生み出したと言える。小児科臨床で出会った症例が精神分析に生かされ、精神分析で出会った症例が小児科臨床に生かされているのである。ここが他の精神分析家では見られないウィニコットのユニークなところであると言える。



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