発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 孤独感について(精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「孤独感について」 1963年
メラニー・クライン著作集5巻 ”羨望と感謝” 誠信書房 pp179-194

 クラインの最後の論文である。その最後のテーマが孤独感というのは大変興味深いもののように思える。

 クラインは孤独感について、幼児期の不安の派生物とし、迫害不安と抑うつ不安から生じるとしている。PSの次元では、万能的一体感が満たされないことによる孤独感、破壊衝動が投影され、妄想的危険を感じることによる孤独感、外的・内的に良い対象に頼れないことによる孤独感が。Dの次元では、生の本能と死の本能の葛藤による孤独感、全体性を獲得できないことによる孤独感、良い母親を見失うことによる孤独感、良い対象と強調できないことによる孤独感、異性の持っているものを所有できないことによる孤独感があるとしている。そして、孤独感が完全になくなったり、癒されたりすることはなく、生涯を通じて心に作用するとしているところにクライン理論らしいと思える。PSポジション・Dポジションが生涯にわたって作用し続けることと関連があるのだろう。

 ここでの孤独感はクラインも最初に提言しているように、内的な問題から生じるものをターゲットにしている。もちろんそれは大事だろうが、やはり現実的な問題から生じるものもあるだろう。その一つは対象喪失である。フロイトの「悲哀とメランコリー」では、喪失した対象に対する怒りが自分に向け変えられることによって自罰的・抑うつ的になるとした。さらに大切な対象を喪失した際には孤独感をも味わうことであろう。クラインはさまざまの大切なものを人生の過程の中で喪失してきた。兄や夫、息子。さらに娘はクライン派から離脱した。さらに、クラインの賛同者であったウィニコットやその他の弟子も離れて行った。そのような現実的な対象喪失はクラインには多かっただろうし、孤独感も少なからずあったと想像する。クラインは人生後期になって、その孤独感をワークしようとしてこの論文を執筆したのかもしれない。しかし、それは途中で終わってしまったようである。クラインがあと数年ぐらい長生きしていたらどのような理論展開があったのか気になるところである。



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