発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 日本ホメオパシー医学協会への反論(精神分析 臨床心理 心理療法)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


 上記のホームページに日本ホメオパシー医学協会の反論がすべて読めます。それを読みましたが、根拠が稚拙で、論理も破綻しているところが多く、読むに耐えないというのが率直な感想です。細かい突っ込みは入れようと思えばいくらでも入れれますが、そうなると膨大な量になってしまうので、主要な部分(ホメオパシーのメカニズムと効果判定)のところのみ詳しく突っ込んでいきます。

1988年に「ネイチャー」に掲載されたベンベニスト博士の論文「高希釈された抗血清中の抗免疫グロプリンE(抗IgE抗体)によって誘発されるヒト好塩基球の脱顆粒化」ですでに水の記憶に関しては証明されています。



 「高希釈された抗血清中の抗免疫グロプリンE(抗IgE抗体)によって誘発されるヒト好塩基球の脱顆粒化」と長くて意味がよく把握できないタイトルですが、ホメオパシーのレメディでするような希釈をすると分子はほとんどなくなるが、その分子の記憶が水に残り、構造的変化を起こす、ということをこの論文では論じています。そして、それがホメオパシーのメカニズムとして科学的に実証されたと日本ホメオパシー医学協会は主張しているわけです。

 しかし、この論文が掲載された後、実験手続きの不備が見つかり、不備を調整したところ論文で書かれていたような結果は導き出せませんでした。不備というのは著者のベンベニストの助手であるダウナーが実験を主に行っていましたが、彼女はホメオパシー信仰者で、ホメオパシーに都合の良いように結果が出て欲しいというバイアスから結果を歪めていたというものです。すなわち盲検化されていなかったのです。その後、ベンベニスト論文を支持する研究・支持しない研究がそれぞれいくつか出されましたが、支持する研究はいずれも研究手続きの不備が多く、研究の質としては低いものばかりだったようです。これらのことを総合して、現在ではベンベニスト論文は否定されていますので、ホメオパシーのメカニズムは現段階では実証されていません。

ここで「有効性がないことが科学的に証明されています。」の根拠とされたLancetの論文については内容的にも疑義のある論文であることが各方面からも指摘されています。



 この論文はシャンがメタアナリシスの統計解析方法を用いてホメオパシーの効果を調べたものです。これまでいくつかのメタアナリシスの論文はありましたが、分析対象とする研究について質の良いものから悪いものまですべて含めて分析していました。質の良い・悪いというのは、実験計画や手続きが厳密で、中立的で、サンプルも必要数を満たしており、脱落などの否定的結果も誠実に記述している、などによって判定されます。例えば、同じような研究でもランダムサンプリングされているのとされていないのとでは絶対的にランダムサンプリングされている研究のほうが信頼性・妥当性は高いのは当然です。こうして、質の悪い研究をふるい落とし、質の良いものだけを集めて総合的に分析したのがシャンの論文です。そしてシャンの論文ではホメオパシーの効果は極わずかでプラセボとほとんど変わらないと結論しています

 そして、日本ホメオパシー医学協会はこのシャンの論文に不備があると言っているのです。どういうところに不備があると言っているのかというと、主に以下の4つがあります。

1.この論文でもわずかだが効果はあるといっている。
2.シャンのふるいのかけ方にバイアスが掛かっている。
3.個々の病気を対象にしていない。
4.個別化を大切にするホメオパシーは大規模な臨床試験には馴染まない。

 しかし、よくよく考えるとどれも的外れな批判に過ぎません。

1.効果がわずかなためプラセボとの違いが見出せない。
2.シャンはメタアナリシスに入る前にふるいにかけているのでバイアスが掛かっているとはいえない。
3.個々の病気・症状を対象にしたとしても、いずれも効果があるという根拠は得られていない。
4.いずれの臨床試験でもベテランのホメオパス(ホメオパシーを施術するセラピスト)が個別化のための聞き取りを行った上でレメディを処方している。

 また、シャンに対する批判的な論はほとんどがホメオパスらによるもので、それこそ中立性が保たれていないものであると言える。すなわちバイアスのかかった反論である。これらのことからシャンのメタアナリシスは現在のところもっとも包括的な研究であり、それによるとホメオパシーの効果については否定的なものであると言える。さらにコクラン共同計画という利権団体などからは完全に独立している医療を評価する団体があるが、ここもホメオパシーに対して系統的なレビューを出し、ホメオパシーに対する効果には否定的な結論を出している

以下にHPに二重盲検法に基づきホメオパシーの有効性を示す論文がありますので参照してください。



 といくつかの研究をアップしています。しかし、研究の質を決めるのは二重盲検法だけではなく色んな要因を総合的に検討して決めます。一度結果が出たからといってそれで終りではなく、繰り返しの追試が必要です。そして、質の悪い研究が100とか200とか数が多くてもそれはエビデンスの積み重ねにはなりません。もちろん、「治った」という体験談も同様です。シャンの研究ではそういう質の良い研究だけを分析しており、そこではホメオパシーの否定的な結論が出されています。

 上記2点(ホメオパシーのメカニズムと効果判定)が重要項目と思いましたので、重点的に突っ込みを入れました。その他にも突っ込みどころは満載なので、簡単にやっておきます。

 日本ホメオパシー医学協会の反論には、「治った」という体験談が多く、歴史も長い、ということを効果アリの根拠としていますが、その両方とも根拠とはなりません。体験談は単なる体験談であり、プラセボや思い込みの域を出ないものです。そういうものをいくら積み重ねても根拠とはなりません。また歴史が長いことも根拠にはなりません。何千年も続いている根拠の無い施術はいくらでもあります。

 さらに、ホメオパシーはお金が掛からず、安全性も高いとしていますが、レメディの中には何十万円もするものもあるそうです(ここはまだ確認中)。安いものでも繰り返し使えばそれなりの料金になります。安全性についても、レメディの中には分子が1つもないので、直接的な害にはなりませんが、ホメオパシーに頼ることで必要な医学的処置を受けることが出来なくなり、間接的に害になってしまいます。なので、自己決定権を盾にして、ホメオパシーを受ける権利を主張することは暴論と言えます。

 さらには「ホメオパシーは副作用が無い。現代医療は副作用がある」といった論もあまりにも画一的で観念論にしかすぎません。また、副作用を主張することで間接的に現代医療に不信感を国民に植え付けようとしているように思えます。効果のある医療・薬剤は副作用もあります。それは仕方の無いことです。しかし、副作用を恐れて効果のある医療・薬剤を使わないとすれば、もっと悪化します。要は効果と副作用とを天秤に欠け、必要なものを必要なだけ使うことが必要なのではないでしょうか。例えばX線はすることにより確かに発ガンの確立が0.6%上昇します。しかし、それをもってしてもあまるぐらいX線による診断や健診を行う価値が高いのです。

 ただ、山口県のレメディを投与し、ビタミンKを与えずに乳児が死亡した件については日本ホメオパシー医学協会が言うように裁判中のことであり、事実関係が争われているところです。それが明らかになるまで待つというのは分かるような気がします。ホメオパシーが直接の死因かどうかの事実認定(多分レメディは単なる水・砂糖なので死因にはならないだろうが)。ホメオパスの助産師がビタミンKやレメディの正確な情報を提供していたか否かが争点になっているのではないかと思います。また、今までどうだったか分かりませんし、各ホメオパスの思想がどうなのかも分かりませんが、日本ホメオパシー医学協会では「現代医学を否定しているわけではない」というところは了解するところかもしれません。



FC2ノウハウにも掲載されています
関連記事
コメント
この記事へのコメント
短く批判すると、「ホメオパシーは治験を行っていないので、非科学的な偽医療。」と言う事ですよね。
2010/09/04(土) 02:52 | URL | uncorrelated # - [ 編集する]

〉 uncorrelatedさん

いえ、違います。ホメオパシーの効能を調べる治験(臨床試験)は行われていますが、それを網羅してみる限り、効能は確認できず、プラセボの域を出ないものであった、というのが正確なところです。
2010/09/04(土) 07:20 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

治験は、薬事法上の承認を得るために行われる臨床試験です。ホメオパシーは日本の治験をパスしていないと言うのが、一番の批判になると思います。

信奉者が参照しているのは、海外の(デキの悪い)研究論文のようですが、これは特定の病気が、日本人に有効かを臨床実験したものではありません。

推進者が反論したい場合は、何よりも治験をパスさせれば良いわけで、そうすれば正規の医療行為として認められます。
2010/09/05(日) 10:12 | URL | uncorrelated # - [ 編集する]

日本の「薬事法上の承認を得るために行われる臨床試験」は確かに行われていないと思います。そして、おっしゃるようにもし本当に効果があるのなら治験で効果を証明したら良いのだろうと思います。そうしたら通常医療の中で普通に使われると思います。多分、そうはならないとは思いますが。
2010/09/05(日) 22:33 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

自己決定権の背景には合理性があります。だから、自己決定権でホメオパシーを擁護するのは難しいと思います。これには大賛成です。ただ、私がリンク先のURLで書いたのは、むしろ「パターナリズム」の立場から、ホメオパシーを否定することの難しさです。

医療が全ての人が治るわけではなく、「あなたの苦しみはなくならないから、勝手にがんばって」と宣告される人もいるという話です。こういう人に「医療でがんばれ」というのは、なかなか酷です。

ちなみに、トラックバックをいただいたのですが、上に書いたように話が噛み合っていないので、掲載しませんでした。
2010/09/06(月) 14:59 | URL | infobloga # ypQlQhkc [ 編集する]

>医療が全ての人が治るわけではなく、「あなたの苦しみはなくならないから、勝手にがんばって」と宣告される人もいるという話です。こういう人に「医療でがんばれ」というのは、なかなか酷です。

なるほど、その部分はもっともだと思います。が、それとホメオパシーの存在価値を認めることとはまた違うようにも思いました。
2010/09/06(月) 23:37 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

ホメオパシー使用者です
私の体験談では、ただの砂糖玉とは考えにくい、ということです
薬でダメ、漢方でダメ、でもホメで治った・・・プラセボとは考えにくいですね
だから、信じる人がいるんです
考え方が逆ですよ
「信じるから使う」じゃなく「使ったから信じる」ということです
そこにはプラセボの理屈は発生しにくい

あと、臨床ですが、ホメの場合その人の生活環境、生い立ち、血縁関係等あらゆるものを考慮して、レメディを処方します
だから、この病気にはこのレメディとは一概には言えないんですよね
(中にはありますが)

最後に、ホメ使用者は現代医療を否定する人が多いですが、現代医療もいいところはあります
現代医療には即効性があります
(ホメにも一部そういったものもありますが)
現代医療には施術があります
現代医療には検査があります
両者の良いところを、使う人たちが考えて選択していけばいいんです
医者のいいなり、ホメオパスのいいなりが一番悪い・・・
手が付けられないような状態まで我慢するのは、いけません
私は、検査もしますし、必要であれば手術もうけます
抗生物質は飲む気はありませんが・・・

ホメ使用者は、もう少し公平公正に判断すべきな気がします
2010/09/09(木) 05:55 | URL | ホメオス # - [ 編集する]

> ホメオスさん

> 「信じるから使う」じゃなく「使ったから信じる」ということです そこにはプラセボの理屈は発生しにくい

プラセボ以外にも、「平均への回帰」や「タイミング」などの人間のバイアス(判断ミス)をするものは色々とあります。症状は一番悪くなれば後は平均に戻ろうとし、自然と良くなります。ホメオスタシスともいえるかもしれません。この悪い時に飲めば、あとは自然良くなるだけなのをレメディの効果と誤認する場合もあります。

こうした人間のバイアスやその他の誤差を排除して、純粋な効果を確認していくことが研究です。ですから体験談をたくさ集めても効果があるとする根拠にはできないんですね。

> 臨床ですが、ホメの場合その人の生活環境、生い立ち、血縁関係等あらゆるものを考慮して、レメディを処方します だから、この病気にはこのレメディとは一概には言えないんですよね

ちなみに個別に応じた施術も加味した研究を持ちいて考察しています。それによると個別化された施術でも効果はみられなかったようです。むしろ一般的なレメディより個別化されて施術されたレメディの方がプラセボと同程度ではありますが、多少効果は低いという結果であったそうです。
2010/09/09(木) 20:47 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

撤回部分「使ったから信じる」→「効いたから信じる」
プラセボ=信じ込み
という構図なら、薬の時点で効果があるはずなのでは?
そのタイミングが、薬でもなく、漢方でもなく、ホメだという事なんです
何かきっかけをくれるのがホメです

わからないなら、試してみればよい
結局、体験していない人がなんら反論しても「机上の空論」です
「机上の空論」から新しい科学は生まれません
2010/09/10(金) 01:23 | URL | ホメオス # - [ 編集する]

> 「効いたから信じる」
> わからないなら、試してみればよい

効いたという感覚がレメディ以外の他の要因であるという可能性を捨てきれないということなんですよね。人間は皆、判断ミスを犯します。これは様々な研究で実証されています。

例えば、通常医療で使われている治療薬は治験によって効果を判定して、効果が確認されたものを使いますよね。ホメオパシーのレメディはそうした治験(臨床試験)では効果が否定されているんですね。
2010/09/10(金) 08:13 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

そうですね
人間は皆、判断ミスをします

結局のところ、現代医療が100%とというくくりの中での判断なんですよね
目に見えるものが変わっていくのなら、感覚ではないし、効果が確認された薬で効果が出ず、ホメで効果を体験したというのです

コペルニクスが「地動説」を唱えたとき、あなたはどちら側についていたんでしょうね?
2010/09/10(金) 22:05 | URL | ホメオス # - [ 編集する]

> ホメで効果を体験したというのです

その体験を過度に一般化してホメオパシーに効果があるとしてしまっているところに誤りがあるのかもしれません。

また現代医療が100%正しいとは思っていません。これからも様々な研究が積み重なり、発展していくものですから。その中で、効果が見られないものは捨てさられ、効果があるものは取り入れていくでしょう。
2010/09/11(土) 17:23 | URL | ピュアリー # 6fwIY24o [ 編集する]

まぁこんなところでしょうか
効果がないものは切り捨てればいい・・・
一度体験してみればいいし、プラセボでもなんでも聞けばいいんですよ
病気には結果が大事です

ホメは人によって捉え方(効き方)が違うのだから、体験もしていない人がとやかく云う問題ではない
(ホメの名を悪用する人がいるならば話は別ですが・・・)
使いたい人は使えばいいし、思わなければそれでいいんです
朝日新聞に振り回される必要はありません
2010/09/11(土) 20:09 | URL | ホメオス # - [ 編集する]

> プラセボでもなんでも聞けばいいんですよ 病気には結果が大事です

自分で使う分にはそれで良いでしょう。しかし、医療者などが効果のないものを効果があると偽ることは患者への背信であり、インフォームドコンセントの理念に背く行為です。

> 体験もしていない人がとやかく云う問題ではない

そうではありません。判断能力・理解能力に問題のある乳幼児に危険が及ぶことがあり、それに対してキチンと批判していくことは必要です。
2010/09/12(日) 00:05 | URL | ピュアリー # seQqc8l6 [ 編集する]

> プラセボでもなんでも聞けばいいんですよ 病気には結果が大事です

結果が出るなら、治験を通してから効果を主張しましょう。
現状では、薬効を謳って販売すると薬事法違反、通常医療の代わりに子供に服用させると医療ネグレクトになりますよ。
2010/09/12(日) 23:47 | URL | uncorrelated # - [ 編集する]

コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://purely0307.blog79.fc2.com/tb.php/323-3920c999
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
21:44  オノデン坊やが未来を運ぶというエビデンスはありません。(キリッ) 21:42  ラグドールとかラブラドールとか見てもラブドールに見える。プラレールはちょっと違う。 21:41  @kamezonia 気づくと、もはやニコチンが一分子も含まれなく...
2010/09/05(日) 05:57:28 | Diet記録簿 with Cipher and etc. Reborn
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。