発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 分裂病者における抑うつに関する覚書(精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「分裂病者における抑うつに関する覚書」 1960年
メラニー・クライン著作集5巻 ”羨望と感謝” 誠信書房 pp125-128

 クラインの発達論としては、妄想分裂ポジション(PS)と抑うつポジション(D)があるのだが、統合失調症者では前者に固着し、躁鬱病者では後者に固着しているというのが簡単なまとめである。そして、統合失調症者が感じる抑うつは躁鬱病者のそれとは異質のものであるというのが本論文におけるクラインの主張である。統合失調症者の抑うつは自身の良いところを破壊し、結果的に自我を脆弱にさせてしまっているというのである。その悲しみと痛みに接近できるのは精神分析だけであるとクラインは力説している。

 PSとDはそれぞれ迫害不安と抑うつ不安に代表される不安を持っており、その対象世界は前者が部分対象、後者が全体対象を形成している。最初はgoodとbadが分かれた世界に住んでいるが、それが成長に伴って一つの対象の中にgoodとbadの両方があるということを認識し、統合が進んでいく。その過程には大変厳しい痛みが伴う。それは今まで破壊しようとしていた悪い対象が実は良い対象だったということが分かり、その罪悪感に苦しむからである。それを償いたいという気持ちが生まれることによって壊れた対象を癒し、再生し、痛みを乗り越えて行く。そしてそれがgoodもbadも両方ある全体対象として認識していくのである。

 ここで重要なのは、統合失調症者だからDにはならないということでもないし、躁鬱病者だからPSにならないということもでもない。さらに、健常者でも時と場合によってはPSやDになることもある。PSとDは生涯を通じて心の中に住まい、何らかの事情によって退行した時にはPSやDになるのである。

 また、クラインによる分裂病の抑うつと違うかもしれないが、精神科医の中井久夫(だったと思うが)、統合失調症者が急性発症した後、しばらくしたら抑うつ的になる現象を記述・説明している。そこでは確か、急性発症の時にエネルギーを使いすぎたので、その為に抑うつになるといったものだったように記憶している。いわば中井はエネルギー経済論的な観点で見ているということであろう。


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