発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 乳幼児の行動観察について(精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「乳幼児の行動観察について」 1952年
メラニー・クライン著作集4巻 ”妄想的・分裂的世界” 誠信書房 pp117-156

 本論文はクラインが構築した乳幼児の心のありようを示す理論が実際の観察とどう整合性があるのかを検証しようとしたものである。クライン派は「純心理学的」と評されるほど、人間の内面世界を扱い、その中で完結させていこうとしており、そこがしばしば他の学派から批判されてところでもある。しかし、実際にクラインの論文を読んでいると、そこまで純心理学的になることはなく、現実の母親との関係や観察にその理論的な根拠を置いているところもある。それは1936年の「離乳」という論文などにも端的に表れている。このことからクライン自身はそこまで内的空想だけにこだわっていたということではないのかもしれない。

 そしてこの理論と実際の観察との整合性についてであるが、クライン派から離れてしますが、コフート派のD.スターンは臨床乳児と被観察乳児とを区別し、実証的に乳児の心のありようを理論化していった。その中でスターンは「新生自己感」「中核自己感」「主観自己感」「言語自己感」という発達段階を構築した。クラインはスターンほど実証的な方向にはこれ以後いかなかったが、その実証の流れはスターンに引き継がれたと言えるのかもしれない。(乳児の対人世界 理論編乳児の対人世界 臨床編

 また、現在のイギリスにおける精神分析家のトレーニングコースでは「乳幼児観察」が義務付けられている。これは、乳幼児が生まれてから2歳になるまで、毎週同じ時間にその家庭に出向き、乳幼児を観察し続けるというものである。そしてそれは単なる観察だけではなく、観察者がどのような情緒体験をしているのか、どのような思考をしているのかを含めて記録していくのである。すなわち、乳幼児との関係性を極めて長い間、そして密接に体験することにより、それが精神分析家としての能力が向上するのである。乳幼児の心のありようは、精神病の心のありようと同じであるという理論的背景がそのようなトレーニングに行きついたのであろう。この乳幼児観察を組み込んだエスター・ビックはもしかしたらクラインのこの論文に刺激を受け、それをトレーニングの中で入れたのかもしれない。


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