発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 カウンセラーのための法律相談(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 良いか悪いかは別として最近は日本も訴訟社会になってきました。臨床心理士やカウンセラーも個人の空想や内的世界に関わる一方で、社会的な存在として法律や倫理といったものを考えていかねばならないこともあるかと思います。本書はこのような世情の中で、現実的にぶつかる問題について法律的な側面から書かれています。心理臨床の技法や理論の本はたくさん出ていますが、法律に関する書籍は大変珍しいのではないかと思います。

 本書はQ&A方式で、現実的にありえるケースを素材にして多角的に論じられています。また、本書の対象者が法律の専門家ではないということを念頭において、平易な文章で書かれています。ただ、それでも法律の専門用語は出てくるし、法学的な回りくどい言い回しなどがあり、何度か読み直さないと理解し難いところはありますが。

 本書には34個のQ&Aがあり、例えば、実践的に守秘義務はどういう時に守り、どういう時に解除されるのか、どういう時に賠償責任を負い、どういう時には負わなくて良いのかなど詳しくかつ具体的に書かれているので大変参考になると思います。

 そして、本書を読んで思うのは、当初はインフォームドコンセントをすることや、契約は書面に残すことなどは、法的な争いにならないため、もしくは法的争いになった時に勝つ為だと思っていたところはあります。しかし、これらを突き詰めていくと、そのようなことをするのは単に法的争いに勝つ為ではなく、そうすることがクライエントの福祉と利益につながるものであることが分かります。例えば、プライバシーを守らないと訴訟を起こされるという考えだけではなく、プライバシーを守ることがクライエントの為になるということです。そういう観点から読み直すと、これは法律の本でありながら、きわめて臨床的な示唆に富む本であるとも言えます。

 最後の方の総論の章では、法律と倫理の違いや、外から押し付けられる倫理と各カウンセラーの内面から沸き起こる倫理との違いなども説明されていました。それを読みつつ、日本臨床心理士会の倫理綱領を読むと、これらは守らなければ罰せられるという意味ではなく、これらを守ることはクライエントの利益に直結することばかりが書かれているように思いました。すなわち、倫理綱領は倫理についてのものではなく、きわめて臨床的な技法論だったのかもしれません。


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