発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 分裂的機制についての覚書(精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「分裂的機制についての覚書」 1946年
メラニー・クライン著作集4巻 ”妄想的・分裂的世界” 誠信書房 pp3-32

 クラインの理論として、抑うつポジションと妄想分裂ポジションは大変有名であり、臨床的にも有用であることは広く知られている。特に、神経症・人格障害・精神病といった病態水準を見立てる上では、必要不可欠であると思われる。その内の抑うつポジションは1935年の「躁うつ状態の心因論に関する寄与」と、1940年の「喪とその躁うつ状態との関係」において定式化され、そして本論文で妄想分裂ポジションが定式化された。ここにおいて、クラインの心的構造論が一応の形を成したということができる。ただ、この妄想分裂ポジションも定式化されたのは本論文であるが、それに関することは初期の論文でも触れられており、早期幼児期における妄想やサディズム、迫害不安、スプリッティングなどは常にクラインの主張するところであった。

 そして、本論文のもう一つの重要なタームに投影同一化がある。訳によって投影同一視と言われたりもしているが、単に「視」という状態を表すだけではなく、「化」という力動的な概念もそこに含まれているので、投影同一化の方がより訳語としては良いのではないかと思う。この投影同一化はクラインは病的な過程をニュアンスとして含めていたようである。確かに人格障害や精神病の患者を理解する上で投影同一化の概念は欠かせない。しかし、後のビオンは投影同一化を健康な発達をうながす機能もあることを指摘し、その概念の幅を広げていったことも意味あることだと思う。

 これらの抑うつポジション・妄想分裂ポジションは人の心のありようを理解する上での非常に重要であり、フロイトの発達論(口唇期・肛門期・男根期・潜伏期・性器期)に並ぶものと言える。ただ、フロイトの発達論はその段階を経て、より高次の発達に上っていくという意味合いが強い。反対にクラインのポジション論は、古いポジションは捨て去られるのではなく、その両方ともが同時に存在し、時と場合によって、どちらが前面に出てくるのかの違いに過ぎないと主張している。その為、生涯を通して、二つのポジションは心の中で生き続けるのである。そこにクラインは段階ではなくポジションと命名した理由があるのだと思う。


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