発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 躁うつ状態の心因論に関する寄与(精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「躁うつ状態の心因論に関する寄与」 1935年
メラニー・クライン著作集3巻 ”愛、罪そして償い” 誠信書房 pp21-54

 メラニー・クラインと言えば、抑うつポジションと妄想分裂ポジションの概念がとても有名であるが、その内の抑うつポジションが本論文で初めて登場している。そういう意味ではとても記念碑的な論文なのであろう。ちなみに、本論文の訳では「抑うつ的態勢」となっているが、最近では「抑うつポジション」という言い方をよく聞くので、こちらの方を使用することとする。

 早期の不安状況では、乳児はサディズムを悪い対象に向けていたが、その悪い対象は実は良い対象でもあったことに乳児は気づき、大変な罪悪感や不安を抱く。その罪悪感を抱くが故に修復しようとする。ここに部分対象から全体対象への移行があるとも言えるし、抑うつポジションへの移行があるとも言えるのである。さらに、抑うつポジションとの対比において、「精神病的態勢」ということにも言及しており、そこでは良い対象と悪い対象の分裂やサディズムや攻撃衝動、さらには報復されるという迫害不安についても触れている。これらは後にフェアバーンの分裂機制などの概念も取り入れて、妄想分裂ポジションとして精微化されていくものと思われる。

 しかし、それまで攻撃衝動や破壊欲動、サディズムということを徹底的に重要視していたが、この1935年ごろになると、それに付け加えて、愛情や愛着といった愛についても徐々に理論の中に取り入れていっているようにも思われる。このようになってきた背景については色々と考えられるが、一つにはクラインの対象患者が乳児から大人に変わってきたことも挙げられるだろう。統合失調症や人格障害といった重篤度の高い患者が多かったようであるが、それでも抑うつのレベルをうかがわせるものが見え隠れしていたのかもしれない。


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