発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 補遺 児童分析の範囲と限界(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 ようやく本書の最後まで読み進めることができてホッとしているのが正直なところである。最後にこれまでクラインが力強く語ってきた児童分析が万能ではないということを記述している。印象ではあるが、今までのアグレッシブな口調から多少トーンダウンしているようにも見えなくはない。

 この章は6ページという短い量ではあるだけに、端的に、シンプルに、分かりやすく記述されているところが特徴である。そして、クラインは「たとえ充分に行われた治療においても、それは子どもの前性器的な固着点とサディズムの強さを減弱するだけであり、それらをすべて取り除くわけではない」と言っている。完全な治癒というのはないということをクラインは言っており、それはフロイトが1937年の「終わりある分析と終わりなき分析」で書かれているような精神分析の限界について一歩先に記述しているようにも思えるところである。

 現代では精神分析の限界についてはもう少し色々とありそうである。虐待や犯罪被害、金銭問題といった現実的な対応を臨床家としては迫られることは多く、その対応にはやはり現実への介入が必要になってくることも多い。さらに、自分自身について考えることをニードとしてもっておらず、そこは触れないでもらいたいと直接的に言う患者もいる。現代ではインフォームドコンセントという概念があり、それにのっとることが必要であるとされているのだが、患者のニードに合うものを提供しなければならない。そこで精神分析を選択するチャンスというのは、多くの場合はない。僕も数多くの患者を抱えているが、その中でも精神分析的セラピーを行っているのは、約1割程度である。その他の約9割はサポーティブなセラピーやガイダンスを行っている。このようなところも精神分析の限界であろうとは思うが、クラインはもちろん触れてはいない。

<目次>

第1部 児童分析の技法

 第1章 児童分析の心理学的基礎
 第2章 早期分析の技法
 第3章 6歳の少女における強迫神経症
 第4章 潜伏期における分析の技法
 第5章 思春期における分析の技法
 第6章 子どもの神経症
 第7章 子どもの性的活動

第2部 早期不安状況と子どもの発達に対するその影響

 第8章 エディプス葛藤と超自我形成の早期の段階
 第9章 強迫神経症と超自我の早期段階との関係
 第10章 自我の発達における早期不安状況の意義
 第11章 女の子の性的活動に対する早期の不安状況の影響
 第12章 男の子の性的活動に対する早期の不安状況の影響

 補遺 児童分析の範囲と限界




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