発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 10章 自我の発達における早期不安状況の意義(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 アンナ=フロイトとクラインの大論争は有名であり、その論争を通してそれぞれの学派は独自性を築いていった。アンナ=フロイトは自我の防衛機制の精微化に努め、自我の成長といったことを重要視した。反面、クラインはプレエディパルの時期に注目し、攻撃性や破壊性を重視し、転移空想をどのように扱うのかを重要視した。この論争は1938年にS.フロイトとアンナ=フロイトがイギリスに亡命したことをきっかけに起こっており、本書が執筆された1932年には、まだそこまで対立が明確になっていなかった。

 このためか、本章ではクラインは自我の重要性についてかなりつっこんで触れており、あたかもアンナ=フロイトの言葉であるかのような、「現実の適応を助け、自我の成長を促す」といったような自我心理学的な見方をしている箇所もあった。もちろん、クライン流の早期の不安状況や、エディプスコンプレックス以前の生得的で過酷な超自我の理論なども書かれているのだが。

 しかし、本章だけではないのだが、クラインはあちこちで「フロイトの理論と私の理論は共通性がある」と力説している。やはり精神分析の祖としてのフロイトに正当な継承者であると思いたいのであろうし、フロイトに認められたいという強い気持ちがあるのだろう。特に1925年に訓練分析家であり、師でもあるアブラハムが亡くなり、その後、精神分析の僻地であるイギリス・ロンドンに流れてしまったという経緯も関係している。ジョーンズが盛り立ててくれていたとはいえ、クラインが真に理解され、受容され、認められるという経験は少なかったのであろう。また、この頃になると、遊戯分析のパイオニアとしての地位も確立しつつあり、ますますクラインの中の子どもの部分は満足を得ることができなかったのかもしれない。そのような中でフロイトに認められることや、フロイトの正当な継承者であることがクラインの唯一の心の拠り所だったのかもしれない。

 このようなところから、まさにクラインの著作はフロイトに向けて書き続けられているのであろう。

<目次>

第1部 児童分析の技法

 第1章 児童分析の心理学的基礎
 第2章 早期分析の技法
 第3章 6歳の少女における強迫神経症
 第4章 潜伏期における分析の技法
 第5章 思春期における分析の技法
 第6章 子どもの神経症
 第7章 子どもの性的活動

第2部 早期不安状況と子どもの発達に対するその影響

 第8章 エディプス葛藤と超自我形成の早期の段階
 第9章 強迫神経症と超自我の早期段階との関係
 第10章 自我の発達における早期不安状況の意義
 第11章 女の子の性的活動に対する早期の不安状況の影響
 第12章 男の子の性的活動に対する早期の不安状況の影響

 補遺 児童分析の範囲と限界




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