発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 逆抵抗(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 逆抵抗という言葉はあまり聞きなれないが、簡単に言うと、治療者が起こす抵抗のことであり、治療を妨げようとする力動が治療者に働くことを指すようである。抵抗という概念はフロイトから始まり、精神分析はこの抵抗の発見によって治療が進展するとまで言われていたほど重要なものである。この抵抗はもちろん治療の妨げになるものであるが、それによって患者は自らの身を守っているのであり、生きていく上で必要不可欠な心の動きである。しかし、その抵抗によって不利益も生じるのであり、それが症状や疾患と言われるものである。このようなものが患者だけではなく、治療者にも起こっているというのが著者の主張である。

 この逆抵抗は逆転移が行動化したものであると著者は捉えており、逆転移を理解することによって防ぐことができるとしている。逆転移の概念はこれもフロイトから始まり、今日では主に対象関係論学派においては大変重要な位置を占めている。ちなみに著者であるストリーンは本書の解説を読むと、古典派フロイディアンに属する人のようである。一般的に古典学派は中立性や分析の隠れ身を重視し、治療者は鏡に徹しなければならないと考えていることが多いが、本書では逆転移というものをしっかりと捉えようとしているようで、あまり古典学派的には見えないように思える。しかし、最近の古典学派も対称関係論の影響を受けて、こういう逆転移なども活用していく方向になってきているのかもしれないが

 ただ、著者の逆転移・逆抵抗の捉え方を見ていると、主に治療者の個人的な葛藤やコンプレックスから引き起こされるものとして理解されているようであった。逆転移は確かにそういう部分も大きいが、患者との関係の中で投影同一化によって投げ込まれている逆転移もあり、その視点があまりないようであった。すなわち、この投げ込まれた逆転移を分析することにより、患者をより深く理解できるようになるのである。そういう意味では、著者の逆抵抗・逆転移は単に治療の妨げを防ぐためという意味合いが強いのかもしれない。

 本書は治療の各局面で起こる逆抵抗を事細かく説明し、豊富な事例を交えて分かりやすくしようと心がけられている。その為、じっくりと読むのには良いかも知れないが、同じことを何度も繰り返しているので、単調さを感じてしまうところもあった。


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