発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 乳児の対人世界 臨床編(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 「乳児の対人世界 理論編」の後半部分をまとめた本です。理論編では、新生自己感・中核自己感・主観自己感・言語自己感の発達をまとめ、臨床編では、それを土台にして、実際の病理の表れや関係性の持ち方などを具体例を持ち出しながら論じられています。

 それぞれの発達に固着(スターンはこの言葉をつかってなかったようですが)した場合に、どのような病理現象になるのかが分かりやすく書かれていました。精神分析の中での発達論はただの発達心理学に留まらず、精神病理との関連で論じられるところにその特徴があります。事例提供の際の分析的フォーミュレーションにおいても、発達的観点が必ずと言っていいほど論点となってきます。

 これまでの発達論で有名なところというと、フロイトの口唇期・肛門期・男根期といったリビドー発達、エリクソンの信頼感などの8段階発達、ボウルビィのアタッチメント、マーラーの自閉期・共生期・分離個体化期、などが挙げられます。

 スターンはその中でもかなり早期の発達に目を向けています。また、その理論確立には、想起だけではなく、観察や実験によるデータも採用し、非常に高い科学性も持っています。

 僕の臨床感覚においても、これらの早期発達と現在の病理との関連は非常に重要であるような手ごたえはあります。しかし、面接の中で具体的なストーリーとして語られるのは、2歳児以降のことが多いように思います。スターンでいうところの言語自己感が確立された段階以降ですね。

 人間の記憶は言語を媒介としてなりたっているというのはどこかで聞いたことがあるのですが、それが顕著にあらわれているのだと思います。そして、2歳以前のことについてはストーリーとして語られることはあまりありません(統合失調症や精神病レベルの重度になるとたまにあると言えばあるのかもしれませんが)。中核自己感・主観自己感の感覚というのはストーリーとして語られることはあまり経験はありませんが、言語ではなく、関係性のとり方や、対人認知のあり方や、情緒的体験のあり方といった、前言語的な部分で特に臨床場面でリアルに生起されます。

 このあたりについて治療者の逆転移や連想を通して、理解していくことが必要となってきますし、時には解釈という形で患者に伝えていくこともあると思います。これらの体験を無意識に属するものとするのかしないのかは分かりませんが、体験の言語化という作業が非常に重要になってくると思います。といっても、それらの体験をすべて言語化していくことが可能であるとは思えませんし、現実的ではないかもしれません。それらの過去を今ここで治療者との間で再体験し、焼き直していくことも必要であるかもしれません。

 精神分析の治療において、個人の歴史を振り返り、今ここで体験しなおしながら、理解していく作業が重要であり、その道しるべとなるのがこのような発達理論であると思います。


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