発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 現代クライン派入門(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 本書は、臨床を未だに経験していない大学院生を対象に書いている、現代におけるクライン理論を簡単に分かりやすく解説したものである。また時折、臨床素材を散りばめられているのでイメージが大変わきやすくなっている。

 確かにクラインの原著を読むよりはかなり分かりやすくなっているのだが、まだまだ初学者の自分には平易に書かれているその裏側が分からず、表面的な理解しかできていないような、そんな不十分さをも感じるところもある。ただ、これは本書の悪さというよりは、私の理解力の乏しさゆえであると思われる。

 しかし、深い分析体験をしていない僕のような初学者であればもしかしたら少なからず上記のような感想を持つ人もいるのではないかと思われる。

 というのも、クライン理論は言語獲得以前の乳児の対象世界を言葉で説明しようとしている。その為、言葉は体験そのもの現象そのものを包含することができず、さまざまな要素が零れ落ちてしまっているのである。その零れ落ちてしまっているものを拾い起こすには、読み手の臨床体験・分析体験が必要となってくるのではないかと思う。

 そのような臨床は週4回以上の分析をしたり、境界例や精神病といった病理が深く、原始的な心性がすぐに出てくる患者さんとの面接の中でしか体験できないのかもしれない。そして、それはまさしく「体験する」としか言いようの無いものであり、言葉で説明したり、思考したりすることが極度に難しい世界である。

 そして、そのような極度に難しい世界のことを無理矢理言葉で表現しようとしているところにクライン理論や対象関係理論の難解さが現れてきているのだと思う。

 あと、メラニー・クラインの生い立ちについて本書では1章が費やされているが、彼女の生育歴を何度繰り返し読んでも、かなり僕自身が悲しみに包まれるような感覚をもってしまう。これほどの喪失体験を幾度と無く繰り返している彼女は悲しみをどのように受け止めていくのかでとても大変だったのであろう。そしてその大変さを克服していく中で創造性といったものが生まれでて、今日のクライン学派というものが出来上がっていったのだと思う。

 理論云々は置いておいたとしても、そんなメラニー・クラインが僕は大好きです。


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コメント
この記事へのコメント
トラックバックどうも。確かに、臨床経験が全くない人がクライン派の理論を読んでも「なんじゃそりゃ?」って話だと思うんですよ。僕も学生時代に読んで「よい乳房」とか「悪い乳房」とか、赤ちゃんがそんなこと考えるわけがないって思いましたし。でも、実際に重い子どもなんかを持つとけっこう理論にぴったりあう現象と出会ったりしてびっくりすることがありますね…。

ただ、感情としては、クラインは「恐ろしいおばさん」というイメージなので、「好き」という感情はあまりわかないですね…。かわいそうな人という印象は持ちますけど…。
2007/08/26(日) 22:20 | URL | Y.. # - [ 編集する]

あー、怖いおばさんってイメージは僕もあります。えらいしごかれて、叱られそうな感じが(^-^;A

でも、その怖さ・攻撃性の高さの裏側に、親しい人を次々と無くしていった悲しい気持ちがあるように思ってしまって。悲しみたいけど悲しめずに病的なうつになったり、人を攻撃したりすることで保っているように想像してしまいます。

すなわち、攻撃性が防衛になっているのではないか?ということになるんでしょうかね。そういう意味では攻撃性は二次的なものとするウィニコットの考えに僕は近くなってしまうのかな?
2007/08/27(月) 10:32 | URL | セーイチ # 6fwIY24o [ 編集する]

セーイチさん、Yさん、どうも。
>怖いおばさん
厳しい人ではあったみたいですね。

ただ、一面に悲しみに裏打ちされた優しさを持つ方でもあったみたいですね。

どこかの本で読んだんですけど、クラインの有名な症例にディックという自閉的な少年がいますけど、ディックがあるセッションの最中に、非常に強い不安を感じて泣き喚いていた時に、クラインが、セッション終了後に、そっと頭を撫でて「きっと、生きていればいいことがあるよ」と言ってくれたらしいんですね。

ディックが成人した後に、クラインにそうやって言ってもらったって、語っていたらしいですね。「本には描かれていないけれど、本当に辛いときにたくさんなぐさめてもらった。だから自分の中のクラインは、今でも優しいおばさんだ」ってディックは言ってたみたいです。

きっとクラインはフロイトみたいな人だったんでしょうね^^
2007/08/28(火) 20:13 | URL | のん # - [ 編集する]

ディックとのかかわりはかなり意外ですよね。その話はディック(つまり患者)が、成人になってから思い出した話のようなので、どこまで信憑性があるのか疑問ですが…。

ただ、ビオンが発表の謝辞に自分の名前を入れてくれなかったからといって泣いたり、繊細な人であったのは間違いないようです。

彼女の論文(とくに、アンナ向けの)からは、「気が強い」「恐ろしい」という印象しか受けませんけどね…。
2007/08/28(火) 22:53 | URL | Y.. # - [ 編集する]

これを読んで細木〇子せんせいを連想してしまいました、、、。
で、クラインさんにとっても興味が湧いてきました。
ちょっと勉強してみようかな?
2007/08/28(火) 23:45 | URL | ゆみっちょん♪ # I.K6Pi7I [ 編集する]

色々なメラニー=クライン像がありますね。優しい面から厳しい面、繊細なところからアグレッシブなところ。どれもがクラインの一側面をあらわしているんでしょうね。

メラニー=クラインの人生や理論を入門的に学びたいなら以下の本が僕はお薦めだと思います。

現代のエスプリ別冊「メラニー・クライン」
松木邦裕(編)至文堂 2004年 2476円
2007/08/29(水) 00:16 | URL | セーイチ # 6fwIY24o [ 編集する]

子どもの発達についてメインに勉強してみたいと思っているので、クラインさんの理論は必修のような気がします。この、セーイチさんのお薦めの本、ぜひぜひ読んでみたいと思います。
あ、そういえば、こちらのブログ、わたしのブログのお気に入り登録させて頂きました。他社ブログもお気に入り登録できるのですね。毎日新しい発見があり、驚きの連続ですv(*^U^*)v
2007/08/29(水) 10:41 | URL | ゆみっちょん♪ # I.K6Pi7I [ 編集する]

ゆみっちょんさんは子どもの発達に興味があるんですね。だとすると、クライン理論のような内的な発達といわゆる一般的な身体的・生理的な発達や、ピアジェなどのような知能の発達も勉強しないとダメですね。幅は広そうですが、頑張ってください♪
2007/08/30(木) 12:10 | URL | セーイチ # 6fwIY24o [ 編集する]

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