発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 ヒステリー研究(下)(精神分析 臨床心理 心理療法)
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 ヒステリー研究(上)の続き。上巻では序論と5つの症例が書かれており、本書ではヒステリーにおけるフロイトは技法的側面を、ブロイアーは理論的側面がそれぞれ考察している。

 本書はフロイトとブロイアーが共著で書いているのだが、ヒステリーに対する見解の違いというのはかなり大きなもののようである。ブロイアーはヒステリーの病因について身体因や性とは関係のない情動を想定している反面、フロイトは性が病因として強く作用していると論じている。このことが、後にフロイトとブロイアーが袂を分かつ要因となってくるのである。

 しかし、両者は互いを批判をしているわけではなく、本書では互いにその業績を認めているように書かれている。互いが遠慮しあっているところもあるのだろうが。

 また、解説を読むと、二人の仲違いは単に学問的な不一致だけが原因ではないようで、人間関係・情緒関係も複雑に絡んでのことらしく、その辺りを見て行くことも大変面白いようである。

 それはともかくフロイトの考察を読むと、ヒステリーの治療技法として催眠から始まり、カタルシス法、前額法と変遷していっていることが書かれており、当時のヒステリー治療というのは試行錯誤の繰り返しであったことがよく分かる。ヒステリーという未知の領域を地図もコンパスもなく進むことの不安と苦労は大変なものであろうし、その努力には敬意を表するに値するものである。

 さらにフロイトの技法論を見ていると、この後の自由連想法の開発から精神分析へと至る道筋がほのかに読み取れるところがあり、精神分析の誕生の前夜といった感じがとてもするように思われる。葛藤や外傷を表出していくというアイデアなどはほぼ精神分析と言っても良いだろうし、転移といった概念もでているようで、そこに関係性の取り扱いもまた見て取れる。

 そのようなところから精神分析の成立につながっていく本書はワクワクドキドキしながら読んでいけるように思う。


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