発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 患者に逆ギレ暴力病院長を逮捕 (精神分析 臨床心理 心理療法)

臨床心理士ピュアリーの心理臨床・精神分析に関する日記。

患者に逆ギレ暴力病院長を逮捕
http://www.sponichi.co.jp/society/news/2007/01/24/05.html

 女性患者の頭を壁に叩きつけてケガを負わせたとして、警視庁新宿署は23日までに、傷害容疑で東京都新宿区歌舞伎町1丁目の「東京クリニック」院長伊沢純容疑者(36)を逮捕した。


 「両手で押し出しただけ」と容疑を否認しているという。伊沢容疑者は昨年夏、男性患者に暴力を振るい骨折させたとして傷害容疑で書類送検されている。

 調べでは、伊沢容疑者は昨年12月、受診に来た20代の女性の髪の毛をつかみ、壁に頭を叩きつけるなどして3週間のケガを負わせ、付き添いの夫に対しても、のどをつかむなどしてケガを負わせた疑い。女性が診察結果の説明を求めたことに腹を立て、「説明しても分からないだろう」などと言って暴力を加えたという。伊沢容疑者に関しては、ほかにも暴力を振るわれたなどとする相談があるという。同クリニックは心療内科と精神科、皮膚科などの診療科目がある。

[ 2007年01月24日付 紙面記事 ]



 この事件が起こった背景や状況が全く分からないので、何とも言えないのですが、暴力を振るったことは一応事実みたいですし、それについてはダメということしか言えないでしょう。

 ただ、臨床をしていると、正直なところ、患者さんに対してネガティブな感情を抱くことはあります。「もう関わりたくない」「来ないでほしい」「殴りたい」「しつこいので腹が立つ」等など。臨床家といえども、神様でもないし、悟りを開いているわけでもないので、時と場合によって色々な気持ちが沸いて来ます。

 これらの気持ちをどのように処理をするのかはとても大事なテーマであると思います。安易に行動化するのはダメだし、「そんな気持ちはない」と否認するのもどうかと思います。そういう気持ちが沸いていることを、ただ沸いているのだということを自己モニタリングし、あるがままに受け止めることがまずは大事だと思います。

 そして、それらの気持ちが沸いてきたのはなんでだろう?ということを考え続けるのが臨床的な営みです。もしかしたら臨床家の個人的な葛藤や未熟さかもしれないし、患者さんとの関係で起こったことかもしれないし。そして、それらは簡単に理解できないことが多いので、分からないという状態、怒りをもち続けるという状態をしばらく体験し続けなくてはならないと思います。そういう気持ちを持ち続けるということが抱える作業となり、ひいては患者さんを抱えることにつながります

 これらのことを一人ですることは難しい場合が多いので、スーパーヴィジョンを受けれる環境にいるのなら受けたほうが良いかもしれません。そういう環境に無いのであれば、同僚や身内に話を聞いてもらって、多少ケースと距離を取って、眺めてみることが有効な場合が多いです。さらに、そういうこともできない環境であるなら、ケース記録をきちんとつける作業をし、それらを事あるごとに読み返したりすることも、ケースと距離を取って冷静になれる一つの方法だと思います。

 臨床家がネガティブな感情を持つことは自然だし、それらを断罪することはできません。逆にそれらの感情を持つということはそれだけ患者さんに対してコミットしており、関係性が深まっているという風に読みかえれます。それらの臨床家の感情を分析することによって、また治療が展開するきっかけになることが多いのです。だから、これらの感情をただ否定したり、抑圧したり、なかったものにしたり、安易に行動化することなく、抱え続けることが重要となってきます。

 ただ、こう書いたからと言って、患者さんに暴力を振るうことを肯定はしませんし、どういう原因や状況やきっかけがあったとしても、暴力を振るった時点で、その人はダメだと思いますし、訴えられても仕方ないと思います。


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2007/08/08(水) 17:27:58 | うつ病対策本部