発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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ビオンがダヴィストックで行った6回のセミナーの講義録である。録画されていた資料を基に、ビオンの妻であるフランチェスカが編集したのだが、当初から出版が予定されていなかったのか、全てが録画されていたわけではないようで、ところどころ記録が欠損している。そのため、前後の文脈が分からない箇所が多々ある。

内容については、直接精神分析についてビオンが語っているというよりは、哲学や思想、社会、生物学などから語っていき、実際に何をしゃべっているのか分からないようでいて、最終的には精神分析や人間そのものについて大きく関わってくる話になるという感じである。

ビオンはもちろん精神分析家であるが、彼の自由の思考は精神分析の枠内に留まらなくなっている。しかし、それでいてやはり精神分析に舞い戻ってきているという極めてアクロバティックな動きをしている。これこそが自由連想といっても良いのかもしれないが。



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解題によると、精神分析の観点からの自閉症理解というのは3つの文脈があるという。一つ目はタスティンであり、自閉の心因論からの理解である。二つ目はアルヴァレズであり、対人関係と発達研究を参照した理解である。そして、三つ目がこのメルツァーである。メルツァーは古典的な分析技法に忠実にのっとり、さらにはビックの代理皮膚や付着同一化の理解を参照して、自閉症の理解を進めている。

本書は分析事例がかなり豊富に、かつ詳細に記載されており、理論形成の根拠が比較的明瞭に示されている。そのため、納得できるかどうかは別として、理解は比較的しやすいのではないだろうか。限界はもちろんあるが。また、経過も5~10年という超長期的スパンで描かれており、それだけ深く広く理解を進めていくところに、ある種の自閉症の本質を垣間見せてもらえるように思う。

自閉症の特質を中核的自閉状態とポスト自閉状態に仕分け、さらには4つの次元から構成される心的次元論を展開し、単に生物学的で、生得的であると安易に結論をつけることを一蹴して、サイコロジカルに理解し、扱っていくその姿勢と理解方法は様々な示唆を与えてくれるように思える。

蛇足だが、マーサ・ハリスはメルツァーの2番目の奥さんだったとは知らなかった。


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