発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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本書は著者のこれまでに発表した論文をまとめた論文集である。また、これらが博士論文ともなっている。

精神分析や対象関係論は精神科医による実践が多いように思われるが、サイコロジストの観点から、特に精神科臨床の中でどのように実践するのかを焦点にしている。精神分析は週複数回のセッションをもつことが求められるし、それがスタンダードではある。しかし、日本の中でそうした設定はなかなか難しいところがある。そのため週1回の設定ができたら良い方で、ケースによってはそれも難しい時があったりする。そのような状況の中で週1回という設定であっても対象関係論や精神分析をどのように実践するのかを明確に打ち出しているのが本書であり、そうした意味においてサイコロジストにとっては取っ付きやすいものであると思われる。

また、著者はクライン派に属するセラピストである。クライン派といえば攻撃性や破壊性を解釈の中心に添えるのがスタンダードであるが、著者はその裏側にある哀しみと痛みに目を向ける姿勢を取っており、その意味で独立学派に近いものを感じさせる。解釈もその哀しみや痛みに向けられたものが多く、患者はそれを抱えれるように援助するのが、著者の姿勢であると思われる。

本書を読んでいた時期は私にとっても、現実がなかなか上手く行かず、時として被害的になったり、絶望的になったりして、いわゆるPSポジションになっていた。そこには本書で示されているような哀しみや痛みを心に据え置くことができていなかったのかもしれない。しかし、本書を読みつつ、その裏にある痛みを私自身は目を向けることができるようになり、有る意味では少なからず救われたように思う。この痛みを感じるよりも被害的になっていたほうが楽であるとも思えるが、そこには自分を無くしてしまう苦しさもあるのかもしれない。それを体験させてくれるような書籍である。


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