発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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ウィルフレッド・R・ビオン(著) 「統合失調症の理論についての覚書」 1953年
松木邦裕(監訳) 中川慎一郎(訳) “再考:精神病の精神分析論” 金剛出版 2007年 pp32-44

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ビオンは統合失調症者の言語を、(1)行為の様式、(2)コミュニケーションの方法、(3)思考の様式の3通りに利用されると言う。本論では、(1)行為の様式について、を論じている。

行為の様式とは、他者が求めているのが思考である時、統合失調症者は行為することで表現するとのことである。それは投影同一化に根差しているものであり、そこには象徴性が機能していない。象徴を利用できるためには、(1)全体対象を把握する能力、(2)妄想分裂ポジションを、それを随伴したスプリッティングとともに放棄すること、(3)分裂したものを一つにまとめて、抑うつポジションを導きいれること、の3つが必要となってくる。

そして、分析が成功を収めていると、統合失調症者は心的現実を実感するようになる。幻覚や妄想を持っていると知ることとなる。そして、こういう羽目に陥れたのは分析家であると患者は憎むのである。

抑うつポジションへの移行の段階で、言語性の思考は強烈であり、妄想分裂ポジションに退行する。それだけ苦痛が大きいということなのであろう。



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本書「再考:精神病の精神分析論」はビオンの1950年代の論文を集めている。ビオンは後年になると論文に症例を載せなくなっていったが、本書の年代ではまだ症例を載せているものが多くある。それだけにビオンの実際の臨床のありさまに幾分かは触れることができるかもしれない。

本論文では悲惨な生育歴を持つ43歳の男性Aが紹介されている。Aはスプリットさせたパーソナリティの一部を人物化していた。それは異なった現実を否認する機能を担っていたとビオンは言う。そして、これらは視力の獲得が非常に重要だと指摘し、乳幼児が視力を獲得する4ヶ月前後の発達がエディプスコンプレックスの先駆けとなっているのではないかとビオンは締めくくっている。

しかし、ビオンの症例もそうだが、クライン派の分析を見ると、解釈の長さが際立っているように思われる。そして、その解釈は大変知的なもののように私には感じられる。細部まで分析していく姿勢は大変感銘的ではあるが、知的に考えてしまうことを奨励し、情緒にガツンとくるあの衝撃は幾分かは少なくなってしまうのではないかと思ってしまう。



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本書は1951年に発表された「移行対象と移行現象」を元にして、さらにその後に発展させた知見について論じられたものである。

移行対象とは、乳幼児が一時的に固執する決まったぬいぐるみや布きれ、洋服などである。そして一定の時期が過ぎ去れば、それは忘れられてしまうものである。乳幼児に接したことのあるものならば誰でもが理解できるものであろう。これらは単に乳幼児の発達心理学の一現象として見るだけでなく、精神分析臨床の中において患者が示す様々な様態の理解を深めることのできる概念でもある。

本書は11の章から成っており、一部はこれまでに発表されたものを再録したり、修正して載せられたりしている。そのどれもが、錯覚の世界から現実の世界にどのように移行するのか、そして移行する際の中間領域について論じられている。その中間領域はplayやplayingが大きな意味を持っており、それは乳幼児だけではなく、成人の精神分析の中においても発見することのできるものである。


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