発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「出生記憶、出生外傷、そして不安」 1949年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp202-227

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 出生外傷とはフロイトの弟子のランクが創出した概念であり、出生外傷の分析を行うこと、すなわち分離を扱うことが精神分析の本質であるとランクは言っている。フロイトは当初はその説には反対していたが、後年ではその一部を認めている。そして、出生外傷の概念から分離だけに絞った分析をすることで期間を短くする方向で技法が進み、ランクの分析が今日のブリーフセラピー・短期療法につながったと言われている。ウィニコットはその出生外傷について本論文では考察をおこなっている。

 本論文ではウィニコットは出生はほど良い外傷であり、大多数の場合には特に問題にはならないとしている。そして侵襲があったとしても胎児の時期の準備によってほとんどの場合が乗り越えられると主張している。このため、出生外傷に絞った精神分析と言うのは存在しないとしている。これはランクの主張を真っ向から否定するものである。

 またこの出生外傷の考察から精神分析的な技法にも言及されており、「精神分析作業の過程で起こる追体験においては時間的に一定の順序が維持されている」と記述している。そのことから、精神分析では常に2つ以上のものを扱うことは患者の混乱を引き起こすので、必ず一度に1つのことだけを扱うことが必要であるとしている



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認知行動療法のセッションをビデオ撮影し、DVD化したものである。もちろん実際のクライエントさんを撮影したものではなく、伊藤先生のオフィスのスタッフがクライエントさんとして振舞っているのである。と言っても、但し書きには、ある程度の設定は決めているが、実際の面接では特にシナリオを考えずに、その場の反応にあわせてセッションを行っているとのことで、かなり本番に近いものとなっているようである。

このDVDには、うつ病のクライエントのアセスメントから認知再構成法を実施するまでの4セッションを。同じくうつ病のクライエントに問題解決技法を行った2セッションを。パニック障害のクライエントに心理教育と呼吸法を行った1セッションを。強迫性障害のクライエントに心理教育と暴露反応妨害法を行った1セッションを収録しており、計8セッション、計7時間近くのボリュームとなっている。これを全部見るのは結構大変である。

しかし、テキストや教科書ではなかなか把握できない、生のやり取りを実際に見ることができ、これはとても参考になるものと思われる。まさに百聞は一見にしかずである。


D.W.ウィニコット(著) 「小児医学と精神医学」 1948年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp177-201

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 本論文はウィニコットがイギリス心理学会医学部門で行った座長講演の記録である。ここでウィニコットはタイトル通り、小児医学と精神医学の橋渡しを行っている。幼児のケアと精神的な病のケアのつながりの確立について話されている。以下の9項目は患者への接近法である。

(1)母子関係の直接観察を通して
(2)定期的な乳幼児観察
(3)小児科的な生育歴聴取
(4)小児科臨床における摂食と排泄の管理
(5)子どもとの診断面接
(6)実際の精神分析的な経験
(7)小児の精神病的退行の観察
(8)反社会的行為にため処遇されている子どもの観察
(9)精神分裂病患者の精神分析



 ウィニコットは小児科臨床における接近から話し始め、徐々に精神科臨床の話に繋げていっているが、その話の流れはとても自然で分かりやすいものである。この時期のウィニコットはまだクライン派であり、この論文の約3年後にクラインとは決別することとなる。そして独立学派として、クライン派でも自我心理学派でもない独自の道を進んでいくこととなる。それはクライン派と自我心理学派のどちらにも属しない“間”にいるとも言える。そして、本論文では小児科医と精神科医の“間”にウィニコットはいると言える。



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要望書

『心理師(仮称)』の国家資格制度を創設して下さい

一 要望理由
今日、国民のこころの問題(うつ病、自殺、虐待等)や発達・健康上の問題(不登校、発達障害、認知障害等)は、複雑化・多様化しており、それらへの対応が急務です。しかしこれらの問題に対して他の専門職と連携しながら心理的にアプローチする国家資格が、わが国にはまだありません。国民が安心して心理的アプローチを利用できるようにするには、国家資格によって裏付けられた一定の資質を備えた専門職が必要です。

二 要望事項
1.資格の名称

心理師(仮称)とし、名称独占とする

2.資格の性格

医療・保健、福祉、教育・発達、司法・矯正、産業等の実践諸領域における汎用性のある資格とする。

3.業務の内容

①心理的な支援を必要とする者とその関係者に対して、心理学の成果にもとづき、アセスメント、心理的支援、心理相談、心理療法、問題解決、地域支援等を行なう。
②①の内容に加え、国民の心理的健康の保持及び増進を目的とした予防並びに教育に関する業務を行なう。

4.他専門職との連携
業務を行なうにあたっては、他専門職との連携をとり,特に医療提供施設においては医師の指示を受けるものとする。

5.受験資格 ①学部で心理学を修めて卒業し、大学院修士課程ないし大学院専門職学位課程で業務内容に関わる心理学関連科目等を修め修了した者、
②学部で心理学を修めて卒業し、業務内容に関わる施設において数年間の実務経験をした者も受験できる。

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これらは要望書は①臨床心理職国家資格推進連絡協議会(推進連)(20団体所属)②日本心理学諸学会連合(日心連)(42団体所属)③医療心理師国家資格制度推進協議会(推進協)(25団体所属)の3団体の共同によって作成。

この要望書に沿って、議員・官公庁・マスコミ・世論に向けて活動を開始する予定。

(その他)
新しい臨床心理国家資格は基礎資格として位置づけられ、その上位資格として臨床心理士やその他の学会認定の資格を設けられていくことが今後は予想される。

現行の臨床心理士指定大学院での設定されている単位の多くは新資格の単位に読み替えが可能であろうと思われる。ゆえに指定大学院に行くことで臨床心理士と新資格の両方を取得することが可能と思われる。

(今後の問題)
・カリキュラムについては日心連の「国資格に係るカリキュラム案についての基本的枠組み」が叩き台。臨床心理系単位、基礎心理系単位、医療系等その他の単位の割合がどれぐらいになるかがポイント。OTのように医療系単位ばかりに偏ると心理の独自性が損なわれる危険もある。

・運営機構・職能団体としては日本臨床心理士会が、認定機構は日本臨床心理士資格認定協会がノウハウがある為、担うことが良いとされているが、他団体からの反発も予想される。さらに日本臨床心理士資格認定協会の非協力的な態度もあるのでまとめるのは困難か。

・移行措置については、現在心理職についている人であれば受験可となる。つまり、学部での取得単位は問われない。ただし、どこまでを心理職とするのか、現在休職している人はどうなるのか、どういう形で心理職であると証明するのか。その辺が問題か。

・学部卒+実務経験での受験の場合の実務経験年数をどれぐらいの期間にするのかも問題。また、病院や相談機関が新資格も持っていない学部卒者を採用するのはあまり考えられない。とすると学部卒者は実務経験を詰めないので必然的に大学院に行くことなる可能性が高い。


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