発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。


【続きを読む】
 サルコフスキスとバーチウッドが来日した際のワークショップの記録をメインにして編集されている書籍。サルコフスキスは強迫性障害やパニック障害に関して、バーチウッドは統合失調症に関しての権威のようである。

 強迫性障害は強迫観念と強迫行為からなる障害であり、認知行動療法が極めて有効であることが確認されている。ただ、認知の変容を強迫観念に対して行ってもあまり有効ではなく、強迫観念は認知ではなくトリガーとして理解することが有用のようである。そして強迫観念に対して生起する自動思考を扱うことが良いようである。それは一般の健康な人にも強迫観念は存在しているという実証研究から導き出されている。すなわち、強迫観念そのものが問題と言うよりも、そのことに対する認知が問題ということである。このことを定式化したのがサルコフスキスである。そして、不安に暴露し、強迫行為を反応妨害することにより、恐れていたことは実際には起こらないことを実証し、馴化することにより、不安と強迫行為が減っていくのである。

 パニック障害は微細な身体的な反応を破局的に解釈し、それによって強い不安が生起する障害である。そして不安が生起しないように、回避行動によって対処するが、その対処そのものが不安を慢性化させてしまうのである。その為、強迫性障害と同様に不安に曝露し、実際にはパニックや不安が起こらないことを体験的に理解していくことで症状が消去されていくのである。

 バーチウッドは統合失調症に対する認知行動療法の研究を行っている。ただ、統合失調症という障害そのものに対してのアプローチではなく、幻聴や妄想といった症状に対するアプローチとなっている。古典的には幻聴や妄想は了解不可能・訂正不可能と言われ、説得によって消そうとしても消せないし、幻聴や妄想に付き合うと助長されるということが言われており、当たらず触らずの対応をすることが一般的であった。しかし、最近の研究では認知行動療法によって幻聴と妄想に関しては十分に対応できるという知見が積み重ねられてきているようである。それは幻聴や妄想は統合失調症などの精神病だけに見られるのではなく、一般の健康な人にもかなりの高確率で見られるのである。それは強迫性障害の強迫観念と同様である。そして幻聴については、幻聴をトリガーとして引き出される自動思考を変容していくことは可能である。また妄想は訂正不可能ではなく、妄想が事実である根拠や反証を丁寧に検討することにより、現実検討力を取り戻し、妥当な認知に変えていくことも可能なのである。

 認知行動療法はうつ病などから始まったが、今日では不安障害や精神病に対しても有効であることが証明されてきている。さらには摂食障害・パーソナリティ障害・発達障害に対しても有効性が見出されてきており、今後もさらに発展していくことが予想される。それは、認知行動療法の方法論やターゲットが実証研究に乗りやすいという特性をもっており、そのことにより、様々な知見やデータを積み重ねやすいことから急速に普及しているものと思われる。今後の臨床を考えると認知行動療法をインテンシブに行うかどうかは別として、このような知見を身に着けていくことが心理臨床家としては必須になってくるのかもしれない



FC2ノウハウ
D.W.ウィニコット(著) 「小児医学における症状の容認:ある病歴」 1953年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp100-122

【続きを読む】
 本論文を簡単に要約すると、小児科で見られるさまざまな症状は身体的なものではあるが、そこには精神的なものが影響している、ということである。それを考慮せずに身体的な処置しかしないならば、治療は成功しないであろう、とウィニコットは言っている。この理解についてはほとんど反対する人もいないであろう。

 これだけかけばこの論文の趣旨はおおまかに把握できると思うが、そのサブストーリーとも言うべき大事なところがもう一つある。それはスクイグル技法という殴り書きを通して幼児とのコミュニケーションや治療を行う方法が初めてこの論文で紹介されていることである。スクイグルとは、片方が意味のない殴り書きをして、もう片方がそれに線を付け加えて何かの絵を描くというものである。それを交互に行っていくのである。

 この論文で取り上げられている症例はフィリップという9歳の男児であり、遺尿を主訴にして病院に来院した。またフィリップに精神分析は行っておらず、3回の通常の精神療法を行っただけである。その中でウィニコットはフィリップとスクイグルを行っている。いくつかのスクイグルを描き、その過程で夢の話が出て、その中で妹の誕生とそれに対する外傷的体験が想起され、遺尿が治っていったという症例である。

 スクイグルは現代でも使われることが多く、応用したさまざまな技法も作られている。ウィニコットのどこ側面を評価するのかは人によってさまざまであるが、このスクイグルという幼児の遊びとコミュニケーションに着目する人と、精神分析家としてのウィニコットに着目する人の二通りあるように思う。



FC2ノウハウ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。