発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「安全でないことに関連した不安」 1952年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp94-99

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 ウィニコットはライクロフトの論文を手がかりにして独自の理論について考察している。ウィニコットの有名な言葉に「赤ん坊などというものはない」があるが、これは本論文に掲載されているのである。赤ん坊が一人で生きているのではなく、そこには必ず母親がおり、母親と赤ん坊の二人で一人というユニットでしか見ることはできないのである。そしてほど良い育児・ほど良い母親の世話によって、赤ん坊は外傷をこうむることなく成長できる。しかし、ほど良い母親はほど良い失敗をするもので、そのほど良い失敗がほど良い欲求不満を引き起こし、自我が成長していくきっかけとなるのである。

 反対にこれらのほど良い世話がなければ、赤ん坊は脅威にさらされ、安全が確保されず、外傷をこうむり、強い不安を感じてしまうであろう。それは人間の根本をくつがえすぐらいの精神病的な不安であるとも言える。



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 姉妹本である「うつと不安の認知療法練習帳」は患者さん向けのマニュアルであり、自学自習で使えるようになっている。ただ、それを何の問題もなくスムーズに100%の人が使えるものではない。そのため、マニュアルをスムーズに使えるようにするために治療者用のガイドブックを用意する必要が出てきた。その本が本書である。本書では、マニュアルを患者さんがうまく使用できるようにサポートしている。

 マニュアルでは、うつと不安を中心にどちらかというと神経症レベルを射程に入れているが、物質乱用・摂食障害・適応障害・パーソナリティ障害にも適用できるようなガイドが入れられている。さらには、短期療法・集団療法・入院治療・専門家のトレーニングにも応用できる方法も記載されている。

 ただ、認知行動療法の基本概念や施行方法などについては他書で学ばないと本書だけでは難しいと思われるので、注意が必要である。



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D.W.ウィニコット(著) 「母親の抑うつに対して組織された防衛という観点から見た償い」 1948年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp86-93

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 子どもは抑うつなどの精神症状や臨床像を示すことは多いが、それは子どもの病気や障害などから単に出ているものではないとウィニコットは主張している。母親に対する思いやりやいたわりが、母親の抑うつを引き受け、肩代わりしているとしている。その為、子どもだけの治療では不十分で母子の関係そのものを対象にした援助をしないといけないということかもしれない。これらのことを数例の症例から論じており、ウィニコットの独自性が垣間見えるところである。

 というのも、これまでの精神分析、特にクライン派は母親を対象にした精神分析は行っておらず、患者である子どもだけを分析していく。そこには子どもの破壊性や攻撃性を分析することに主眼が置かれているからである。しかし、ウィニコットはそうではなく、母子の対象関係を念頭にした分析を行っており、その観点からこのような論文が出来たのであろう。


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 本書はケースを通して認知行動療法を学ぶということをテーマにして編纂されている。認知行動療法はマニュアル化されており、学びやすいとは言え、やはり臨床現場でどのように施行されているのかについては個別のケースに応じたものである。そのため、実際のケースを通して具体的にどのように施行されているのかを見て行くことは大変勉強になるものと思われる。また、本書ではベテランの治療者による綺麗な成功ケースではなく、臨床経験がまだ少ない初心者のケースをみることにより、具体的で生々しい試行錯誤の後を見ることができ、自分に引きよせてケースを考えて行くことができる。

 ケースは全部で4つ掲載されており、うつ・恐怖症・うつ・発達障害である。最後の発達障害のケースに認知行動療法が適用されるのかという議論はあるが、細かいアセスメントを通して、認知行動療法が役に立つであろうと思えるようなケースマネジメントがなされていた。

 ちなみに、このワークショップは東京にある洗足ストレスコーピングサポートオフィス(SSC)が主催したものであり、事例もすべてそのオフィスで行われたものである。本書ではケース検討に入る前にSSCの紹介として、どのようにインテークがあり、どのようにケースマネジメントをしていくのかについて概要が説明されていた。それによると、インテークは所長である伊藤が行い、そこで聴取される情報や心理教育は全て型にはまったものであった。そして2回目以降に担当者に引き継がれる。さらには、数種類の決まった心理テストがあり、3回目、8回目、13回目とその後5回置きずつに必ず施行されるようである。このようにがっちりと構造が決まっており、その中で認知行動療法がおこなわれる。それが良いとか悪いとかではないが、このような構造の中で行う臨床だからこそ、安心して認知行動療法を施行することができるのかもしれない。また、SSC独自かどうかは分からないが、スタッフによるミニスーパーヴィジョンが定期的にあり、そこで5分ぐらいの時間で各々のケースのスーパーヴィジョンを伊藤が行っている。このことは担当者にとっては大きなサポートであると言えるかもしれない。このような整った現場で臨床ができるのはとても幸せなことかもしれない。



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