発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「児童期の眼科的な精神神経症」 1944年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp78-85

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 本論文では眼科的な症状と精神科的な症状との関連性について述べられている。精神神経症、抑うつ、精神病がここでは取り上げられている。斜視が心因的な影響を受けるという話や眼鏡がフェティシズムの対象となる話などユニークなものが多い。

 ちなみに、フロイトはヒステリーの患者の分析をし、その時には器質的な疾患は無いにも関わらず目が見えなくなるという症例を提示していた。さらには、エディプスコンプレックスとの関係から見ることと去勢ということを論じた。エディプスは母と結婚し、父を殺したことを知ったとき、自らの目を潰し、娘であるアイティンゴンと旅立った。このような論の延長として本論文があるのかもしれない。



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エビデンスベースドな考え方をもとに、ベックの抑うつ理論から不安障害、統合失調症に至るまでのさまざまな理論を包括的にまとめあげている。

エビデンスベースドはこれまでの経験と勘に頼った医療に対する反省から、科学的な検証を通して得た根拠をもとに医療を行っていこうというパラダイムである。そしてそれらを臨床心理学や心理療法の分野でも取り入れていこうとする動きが1990年代から世界規模で起こっている。ベックの抑うつ理論とその実証研究では、このエビデンスベースドによく調和し、様々な角度から検証が進んでいる。特に、きっかけ→自動思考→感情や気分という図式による理解は実証的にも治療的にも実用性が高いようである。その図式が抑うつだけではなく、不安の理論から、妄想の理論、幻覚の理論にまで応用されてきているのである。

これらのことが単に思弁的なものや、思いつきのものに終わらず、様々な形で実証されているのである。その為、例えば統合失調症の幻覚・妄想については、これまでは当たらず触らずといった対応が常識であったが、様々な研究を通して、インテンシブに関わることで改善されるということが実証されてきている。このような知見は統合失調症治療において大きな進歩と言える。

また、パニック発作・強迫観念・妄想・幻覚などの異常体験は病的な人に特徴的なもので健常人は経験しない、ということが言われていた。しかし、これらのことも実は健常人でもかなりの高確率で体験しているようである。では、なぜ発症する人と健康に生活できている人とに別れるのかというと、それはそういう異常体験に対する認知と行動が大きく関わっているのである。すなわち、「きっかけ→自動思考→感情や気分」のきっかけにこのパニック発作・強迫観念・妄想・幻覚などが入るのである。こうした異常体験をどのように理解し、認知し、受け取るのかによってその後の結果が変わってくるのである。例えば、幻覚があっても、それを気のせいだと考えるのか、宇宙からのおつげと考えるのかによって、相当その後の結果が変わってくるということである。こうした知見により、異常体験に対する治療の可能性は大幅に広がったと言える。

このような知見が本書ではかなりたくさん掲載されており、参考になるものと思われる。ただ、具体的な適用方法や技法、治療手続きについてはほとんど載せられていないので、技法の習得のためには他のテキストなどで勉強する必要があるだろう。また、エビデンスベースドの重要性には異論は全くないが、全ての人に画一的にエビデンスを適用できるわけではなく、個々の患者・個々のクライエントを個別にアセスメントし、個別に対応し、柔軟に介入していくスキルも重要であると思われる。すなわち個別性の理解をどのように組み込むのかが今後の課題と言えるかもしれない。



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