発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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D.W.ウィニコット(著) 「児童部門のコンサルテーション」 1942年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp56-77

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 ウィニコットは精神分析研究所の児童部門におり、来所した症例と面接をし、週4~5回の精神分析を施行できるのかを判定し、研修生に割り振ることを仕事としていた。しかし、精神分析が隆盛していたこの時代においても精神分析を施行できる症例というのは数が少なく、精神分析を施行できない数多くの症例がいたようである。物理的な条件というのはとても大切で、週4~5回も通うだけの時間と労力を費やせるのかはとても重大な要因であろう。また精神分析とは別の援助方法が必要である症例もあるだろう。

 精神分析が盛んである当時のイギリスロンドンでもこのような状況である。とすると今の日本ではどうだろうか?金銭的に裕福な人は一握りだし、仕事や学校の関係で週4~5回も通院することは現実的には非常に困難である。また、精神分析のようにじっくりと自己を探求することを希望するよりも、早く・簡単に・痛み無く病気を治して欲しいと希望する症例の方が圧倒的に多い。それがダメということではないが、現実的にはそうなのである。

 しかし、ウィニコットはこのような状況を単に嘆くのではなく、精神分析に乗らない症例からさまざまなことを発見していった。そして「分析家にとっては非分析的素材が本当に面白いというのが私の個人的意見である」とまで言っている。ここにウィニコットの極めて臨床的なスタンスが見て取れるように思う。



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日本国憲法の改正について。日本国憲法の全文はこちら

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最近はよく憲法改正についての討論番組やニュースが流れているように思う。確か自民党も憲法改正のためのグループを立ち上げたとか聞いた記憶があるが。

確かに憲法は国の在り方を規定する重要部分であるのに、戦後60年以上経っても一度も改正されたことがなく、時代にそぐわなくなってきていることは否定できない。またそもそも今の日本国憲法はアメリカ占領軍によって日本を統治するために作られたもので日本国民の手によって作られたものではない。それを後生大事にしているのではなく、日本国民が自ら作り直すことは必要かもしれない。

今の日本国憲法の内容を見ても、前文のところから主権・領土・国民を自分たちで守ることを放棄しているような内容になっているのはおかしいことだと思う。

特に憲法9条の武力放棄と戦争放棄のところ。平和を愛するという理念は立派だが、実を伴っておらず国際協調の足枷になるだけではなく、国防すらままならず、大変な弊害を被り続けている。

しかし、憲法改正の手続きに高いハードルがあるため、なかなか改正できないというのが現状である。確か衆院と参院でそれぞれ3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で半数以上の賛成が必要だったと思う。しかも、その国民投票の制度が昨年まで無かったというのだから驚きである。

衆院の解散がもしかしたら近いとも噂されているが、次回の衆院選は憲法改正が争点になってくるのかもしれない。

というか早く民主党は政権から降りて解散しろ!!(笑)

民主党政権になってから他の先進諸国はリーマン不況からほぼ脱しているのに日本だけが低迷し続けている。これは何の経済政策も打ち出せてない民主党の責任は重い。また夢物語のマニフェストは次々と断念。詐欺と言われても仕方ない。で、それを反省して頑張っているならまだしも、民主党は内輪もめに興じて、日本や国民のための政治や政策を何もしてない。

憲法改正の話をしていて途中から民主党批判になったが、大きくは日本の国益を考えていこうというところでは一致しているかと思う。



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D.W.ウィニコット(著) 「設定状況における幼児の観察」 1941年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp30-55

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 本論文はウィニコットが行っていた小児科臨床における診察場面でどのような設定を行っていたのかについてが書かれている。ウィニコットは生涯5万例にもおよぶ母子を診察したと言われているが、そのいずれもがほぼ同様に設定の元に診察を行っていたようである。ウィニコットの診察室はかなり広い部屋が使われており、入り口から一番遠いところにウィニコットが座っている。それは母子が部屋に入ってウィニコットのところに来るまでに観察したり、これまでの経過を思い出したりすることに時間を費やせるからのようである。そして、ウィニコットと母子の間には舌圧子(ぜつあつし)が置かれており、幼児が手を伸ばせば届くようになっている。このように設定を一定にすることにより、他の母子との比較ができるのである。実験的に言い換えると独立変数を一定にするということである。最近の言葉では「定点観測」と言うこともできるだろう。

 精神分析でもこの定点観測は行われており、カウチ・中立性・禁欲原則・自由連想といった精神分析のこうした設定や方法を一定にすることにより、患者の言動を分析していくことができるのである。

 本論文での小児科臨床でのこの設定の元で、舌圧子を幼児がどのように扱うのかについてウィニコットは3つの段階に分けて記載している。舌圧子に手を伸ばす(1段階)。ためらって身動きをしない(2段階)。舌圧子で遊ぶ(3段階)。そして、幼児が舌圧子をどのように遊ぶのかを観察することにより、ウィニコットは幼児にも空想があることを見抜いている。それは治療者と幼児の間の空間に存在するものであり、後の構想である「移行空間」「移行対象」に繋がっていくものであると言える。



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 臨床心理学の中には実際には検証されていない理論や技術が当たり前のように使われていることがある。実践と経験が重要であるとは言え、さすがにそれではまずいのではなかろうかと思う。本書ではそうした臨床心理学のさまざまな理論や技術が科学的な見地からどのように扱われているのかについて書かれている。

 アセスメントにおいては、ロールシャッハやTAT、描画といった投影法が検証されているほか、MBTI(ユングのタイプ論を元に作成された質問紙)にも妥当性と信頼性に関して批判が加えられている。

 技法の面ではニューエイジ療法(日本ではスピリチュアルに近いジャンルか?)やハーブ療法、記憶回復療法が取り上げられており、それらに対してもかなり否定的な見解の結論を下している。しかし、一般的な心理療法(認知行動療法や精神分析、来談者中心療法など)については否定的研究・肯定的研究の双方があり、メタ分析の結果など総合的に見て、効果があるのではないかと本書では肯定的に捉えているようであった。

 また、解離性同一性障害(DID)は複数のパーソナリティが並存する障害であり、その病因について心的外傷仮説と社会的認知モデル仮説が検証されている。ただ、DIDに関しては、どういう治療技法が効果があるのかについてはそれほど検証がされていないよう。その他にもPTSD・アルコール依存・ADHD・自閉症といった障害に対する効果が確認されている技法と確認されていない技法のレビューもあった。

 簡単に要約したが、もっと多面的に、重層的に議論がなされているので、実際の細かいところは本書を参照してもらえたらと思うが、本書の全般にわたって貫くスタンスとして、単なる体験談や逸話だけを元に効果や仮説を判断するのではなく、エビデンスベースドに基づいて判断しているのが分かる。どうしても人間の判断にはバイアスやエラーがあるので、それらを如何に最小にし、事実を見ていくためにはこうした科学的な検証が不可欠になってくるのだと思う。たいていの体験は事実の歪んだ形であると思っておく方が良いだろう。そして、クリティカルシンキング(科学的思考・批判的思考)を養うことが大切であることが本書を通して学べることと思う。

 最後に本書で取り上げられているトピックの一覧を挙げておく。

ロールシャッハテスト・TAT・投映描画法・解剖腑分け人形・MBTI・法廷における専門家証言・解離性同一性障害・認知行動療法・精神分析・来談者中心療法・催眠療法・系統的脱感作・ニューエイジ療法・回復記憶療法・悪魔崇拝儀式虐待療法・実在療法・再生誕と再育児療法・PTSD・不安管理訓練・EMDR・思考場療法・非常事態ストレスデブリーフィング・アルコール依存症・アルコール自主更生会・ジョンソン介入法・ジスルフィラム薬物療法・プロジェクトDARE・コミュニティ強化アプローチ・動機付け強化療法・夫婦家族療法・短期介入・ハーブ療法・ADHD・精神刺激薬治療・認知訓練プログラム・サプリメント・ホメオパシー・自閉症・ファシリテイテッドコミュニケーション・感覚統合療法・イルカ介在療法・食事療法・自助療法





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D.W.ウィニコット(著) 「食欲と情緒障害」 1936年
北山修(監訳)“小児医学から精神分析へ-ウィニコット臨床論文集-” 岩崎学術出版社 pp3-29

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 フロイトは性心理の発達として口唇期を最初の段階としておいた。そこでは母親のオッパイを口で吸うことによる満足を重視していたと理解することができる。ただ、フロイトの関心は後のエディプス期における父子葛藤に向けられたため、口唇期の性的満足についてはそこまで詳細に考察されなかった。その後のクラインや対象関係論者は父子関係ではなくもっと早期の母子関係にまで発達を遡っていくようになった。そこには単に口による性的満足があるかなしかといったことに留まらず、早期の心の交流が後の発達に大きな影響があることを理論化し、対象関係論が発展したのである。そして、ウィニコットはその先駆けとなったと言えるのである。

 本論文はそうしたウィニコットの理論的発展の一つとなっているように思うが、タイトルに示されているように、乳幼児の口による満足を小児科臨床を通して考察している。そこでは具体的な現象として食欲を取り上げ、その食欲の異常が後の情緒障害・精神障害とが深く関連していることを述べている。確かに臨床をしていてもほとんどの症例で食欲不振といった食欲にまつわる症状を伴っていることは所見として挙げられる。うつ病の食欲不振はその典型例であろう。また摂食障害では直接的に食欲の障害が見られる。過食・拒食といったことは逆の現象ではあるが表裏一体であるとも言える。

 ウィニコットは本論文で13の症例を提示しながら食欲と情緒障害・精神障害との関係性を丹念に描写している。ただ、ここで示される症例は後の論文でも同様であるが、精神分析の症例ではなく、小児科という一般診療の中で見られた症例のみを提示している。ウィニコットが小児科医であり、精神分析家でもあったことは有名であるが、その経歴が精神分析学や小児医学の両方の発展に寄与する重要な知見を生み出したと言える。小児科臨床で出会った症例が精神分析に生かされ、精神分析で出会った症例が小児科臨床に生かされているのである。ここが他の精神分析家では見られないウィニコットのユニークなところであると言える。



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D.W.ウィニコット(著) 「幼児と母親および母親と幼児のコミュニケーション、比較と対比」 1968年
ウィニコット著作集1巻 “赤ん坊と母親” 岩崎学術出版社 pp97-111

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 精神分析において無意識という概念はとても重要である。しかし、ウィニコットは本論文で赤ちゃんには無意識はないと言い切っている。赤ちゃんは意識と無意識とが入り混じっており、渾然一体となっているとウィニコットは捉えているようである。そして意識や無意識といった概念よりも母親との関係や一体化の重要性を指摘しているようである。母親は出産後、数週間から数か月は母親は赤ちゃんに対して引きこもりにも似た集中を発揮するといい、それを原初的母性的没頭と言っている。そのことから、母親と赤ちゃんは一つのユニットとして捉えるべきだと言っているのかもしれない。

 母親と赤ちゃんとの関係はまさに二人で一人というほど密着したものであり、母親は赤ちゃんのニードを素早くキャッチし、それに対処している。このことをウィニコットは抱っこ(ホールディング)といっている。そこでは完璧な養育をすることを目指すが、時として失敗してしまう。その失敗こそに意味があるとしている。失敗を通して赤ちゃんはニードが満たされない体験をし、それを埋め合わせるようにして発達するのである。しかし、その失敗が大きかったり、長すぎたりすると、剥奪体験になり、その後の精神病的な不安になるとしている。

 これらのことは精神分析の治療関係のメタファーとして使われている。すなわち、治療者が患者のニードをホールディングし、しかし、失敗することによって治療が進展する、ということが分析治療においても言えるのである。母親-赤ちゃんは、治療者-患者とパラレルな関係であると言える。



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 精神医学的診断分類によって診断するだけでは効果的な治療を行うことはできないという観点から、学習理論・行動分析・認知行動療法の知見をベースにして、クライエントの個別性を重視したアセスメントをしていく方法が発展してきた。特にパーソナリティ障害など、複雑な要因が絡み、対応困難となっているケースをうまく理解することができなかったが、それらをも射程に入れて行こうという意欲的な本である。

 行動分析では、刺激―行動―結果の3項随伴が基本であるが、それにプラスして、認知・身体の側面もいれ、さらには環境要因や過去の症状形成なども含めて、トータルにクライエントをアセスメントしていく。さらには、単にアセスメントして終わりではなく、アセスメントから得られた仮説をもとに、実験し、その妥当性を検証することも必要事項として取り入れられている。そのようにトータルにクライエントをアセスメントしていくことは日常的な臨床では通常行われていることであるが、それを手続き化・マニュアル化し、体系にまとめているところが本書のポイントであると思う。

 そして後半では実際のケースフォーミュレーションがどのように進んでいくのかを事例を通して説明されている。



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