発展途上臨床さいころじすとの航跡blog版 (精神分析 臨床心理 心理療法)
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メラニー・クライン(著) 「幼児の情緒生活についての二、三の理論的結論」 1952年
メラニー・クライン著作集4巻 ”妄想的・分裂的世界” 誠信書房 pp77-116

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 クラインはフロイトに比べて早期の乳幼児の心の在り方や発達についてきめ細かく理論化しているところに魅力と臨床的な意義がある。生後2~3ヶ月までの妄想分裂ポジションと、生後半年ぐらいの抑うつポジションの、それぞれの移り行きや変遷について本論文では細かく説明されている。

 乳幼児の心の在り方は、大人の重症な病理と大変似通った性質を持っており、その為、乳幼児の心を理解することにより、重症ケースの理解と治療に役立てることができるのである。フロイトの時代にはヒステリーや強迫神経症といった神経症水準のケースが多かったが、時代が下るにつれて、社会的な要請もあっただろうが、境界水準や精神病水準のケースが多くなってきたという背景もあるのかもしれない。クラインの早期乳幼児の理論により神経症よりも重たい水準の患者に対する精神分析の道が開かれたといっても過言ではないだろう。

 さらにこのクラインの発達理論を元に、病理的組織化の研究によりさらに対応が難しい患者への理解と治療の道が開け、自閉・接触ポジションの研究により発達障害の精神分析治療にも道が開けて行ったのである。


メラニー・クライン(著) 「自我発達とエスにおける相互的影響」 1952年
メラニー・クライン著作集4巻 ”妄想的・分裂的世界” 誠信書房 pp73-76

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 解題を見ると、このタイトルによるシンポジウムに寄稿された論文であり、これまでのクラインの考えを簡単にまとめたもののようである。その為、特に目新しい考えが付け加えられたり、展開していったりということはない。

 クラインの理論の重要な位置にあたる超自我は、フロイトが考えるよりも早期に誕生し、その際には超自我が迫害的に作用するとしている。これは境界例の理解にとっては大変有用である。境界例の患者はさまざまな問題行動を起こしたり、他者に対する過剰な攻撃をすることもあるが、それは超自我の力が弱く、衝動の抑制が効かないということではない。逆に超自我があまりにも強く、その迫害的な罪悪感に耐え切れずに行動してしまうということは臨床的にはよく見られることである。この時期にはまだ境界例という概念が市民権を得てないので、クラインは直接的にはそのことについては言及はしていないが。

 また、クラインは本論文の最後に「無意識を深さにおいても広さにおいても探求することによってのみ、全体の人格を分析できるというのが、われわれの認識である」と書いている。あまりにもサラっと書いているが、これをしていくためにはどれほどのエネルギーと負担と時間がかかるのか想像するだけでも大変である。クラインはそういうことを長年続けてきたのであろうし、それは大変スゴイことであると思われる。


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